内容説明
ジェンダー平等の達成を求めて―。ジェンダー・バックラッシュの実態と本質を明らかにし、日本の女性政策や運動の限界を乗り越える道を探る。
目次
序章
第1章 「ジェンダー・バックラッシュ」現象
第2章 「バックラッシュ」問題の視点からみる女性政策
第3章 地方自治体のジェンダー行政とバックラッシュの流れ―4つの時期を中心に(1996~2009年)
第4章 大阪府A市立B中学校における「性教育バッシング」の事例
第5章 「ジエンダー・バックラッシュ」勢力の言説とその思想的特性―性と家族・伝統を中心に
終章
著者等紹介
石〓[ソクヒャン]
1970年、韓国・釜山市生まれ。専攻は、日本現代女性史(日本女性学)、日本地域学。現在、韓国・東西大学校、昌信大学校非常勤講師、企業の日本語の講師。釜山女性社会教育院委員や日本語と韓国語の通訳翻訳活動なども行う。2006年東西大学校大学院日本地域研究科博士課程単位取得退学。2009年立命館大学客員研究員(6年間)。2010年国際交流基金日本研究フェローシップフェロー。2012年日韓文化交流基金招聘フェローシップフェロー。2014年立命館大学大学院文学研究科博士(文学)取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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katoyann
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2000年代前半を席巻したジェンダー・バックラッシュを分析した学術書である。ジェンダー・バックラッシュは、性別特性論に立ち、固定的な性別役割分業を肯定して、フェミニズムをマルクス・レーニン主義の陰謀だと断罪する。その具体的な運動が性教育バッシングや福井県のジェンダー関連本撤去騒動である。本書では、ジェンダー・バックラッシュが国家主義と連動していることを指摘し、日本の知識人がこの問題を軽視したために、世界的には極右政権と見なされる安倍政権の誕生に繋がり、日本が孤立の道を進む原因となったと分析している。2023/11/06