内容説明
世界中から「帰還」したユダヤ人が、民主主義を標榜しつつ、アラブ・パレスチナの歴史と文化を収奪・吸収して発展してきたイスラエル。止むことのない戦争を支えるキッチュで矛盾に満ちたシオニズム文化の実像を、追放/不可視化された「不在者」の視点から論じる。
目次
イスラエルの「不在者」と私たち
第1部 ユダヤ社会と国家(愛国気分が充満するイスラエルの春―キッチュな国旗と記念日と;歴史の破壊と断絶の場―「キブツ」から過去を凝視する;ニュータウンのフォークダンス―シオニズム文化の神髄、ここにあり? ほか)
第2部 マイノリティーズ展望と混迷(ラマダーンで実感するイスラエルの孤立;イスラエルの「イスラーム運動」―もたらされた変化と見えない未来;断絶?多様性?アラブの女たちの願望の行方は ほか)
第3部 文化/空間の収奪(キッチンから見えるイスラエル;観光地に集約される「イスラエルらしさ」;破壊と横領と差別を隠蔽し得る「芸術の魅力」とは ほか)
著者等紹介
田浪亜央江[タナミアオエ]
東京外国語大学外国語学部アラビア語学科在学中の1994年4月から1996年3月まで、シリア留学(ダマスカス大学文学部聴講生/演劇芸術高等学院演劇理論コース聴講生)。1999年3月、一橋大学言語社会研究科修士課程修了、同年4月同博士課程進学。2003年10月から2005年12月までイスラエルのハイファ大学留学(ウルパン〈ヘブライ語教室〉生/多文化主義・教育研究センター研究生)。現在は独立行政法人専門員、大学非常勤講師ほか。2006年9月に発足した、ミーダーン「パレスチナ・対話のための広場」メンバー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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