内容説明
本書のなかで著者は北米を中心に活動する様々なアーティストを取り上げたが、それらの作品に共通するのは、抵抗/転覆/浮浪の表現だと言えるだろう。たとえば、強姦神話やドメスティック・バイオレンスへの抵抗。ゲリラ・ガールズやバーバラ・クルーガーの作品に見られるような、ファロクラシーと家父長制の転覆の企図。あるいは、自称「デジタル版浮浪労働者」のシューリー・チェンや、劉虹、ヨンスン・ミンなどの在米アジア系アーティストによるオリエンタリズムへの批判と転覆の視線。彼女たちのアートは、「想像力のかけらのはいった万華鏡」のごとく思いがけないヴィジョンを見せてくれる。
目次
ゲリラ・ガールズ―アメリカにおけるフェミニスト・ゲリラ
ジェニー・ホルツァー―都市空間を乗っ取るフェミニストのアート
劉虹―「フォーチュン・クッキー」のアート
スー・コー―検閲された「強姦」
ヨンスン・ミン―「エキゾチックなアジア」像の解体へ
シューリー・チェン―「トリプル・マイノリティ」のどんでん返し
「観光」「見物」のまなざしへのカウンターアート―ココ・フスコ、ツェン・クォンチ
強姦神話の解体に向けたアート―アメリカのフェミニストの戦略
性暴力のドキュメント―ダナ・フェラート
WAC―直接行動のアート・パフォーマンス〔ほか〕
感想・レビュー
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aof
3
おもしろーい。フェミニズムの統計学はアートだけじゃなくて、もっといろんな広がりがあるからもっと知りたい!!と思った。アートを見ていて、裸や男根などがモチーフになるのはなんなんだろう?と思ってたのでこれを読んでちょっとはわかった気がする。アートとアクティビズムが結びつくのは素敵だ。単純にゲリラガールズとかかっこいい。資本主義(それはもちろん男根主義的なものも存分に含んだ)にカウンターを入れていくには、その価値観に回収されない「かっこいい」が必要なんだと思った。2023/03/19
kushuka
1
女性でなくともアート関係者は必読。個人的にはフェミニズムアートってカテゴライズなんなのってところが面白かった2021/12/25