内容説明
本郷東大正門前。編集室は四畳半。主人は二十歳代はじめの青年。ここから、最初の「宮沢賢治全集」三巻本が、そして中也「山羊の歌」が送り出された…古美術蒐集記をまじえた八十八翁の回想録。
目次
思い出深い出版物
「文圃堂」のこと
詩集『山羊の歌』のころ
「山羊の歌のこと」補記
賢治全集の紙型
賢治作品を芝居にした男
大仏次郎先生の思い出
若い頃の昇平さん
大岡昇平と鎌倉
明平さん〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
千賀葵
2
中原中也さんの『山羊の歌』を出した出版社のご主人の話。中也さんの話は、佐々木幹郎さんがインタビュー形式で聞き出している形。この本、内容の重複も多いけれど、最後にこのご主人の口から中也さんのことを「死んでも気になる奴」との言葉を引き出したことは本当に凄い!小林秀雄さんの「死んだ中原」なる詩は本当に泣けた。ぶじ出版してもらえることになって、中也さんはずいぶん嬉しそうな様子だったとか。心ポカポカしました。 交流のあった文学者の思い出の他、骨董品集めや留置場のようす、被爆したお父様から聞いた話など。2018/03/31