感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くまさん
23
人間がどう病を発症し、快方に向かっていくのか。その経過は実に多様で一般化できないけれども、その特徴として「世界と自己の隔離」や「身体感の消滅」、あせりのなかの「力量感の減少」また「疲労感とそれを否定する超絶感の共存」があるという。描画による芸術療法や妄想・破瓜・緊張・慢性化の特質がきわめて明晰に記述される。急性期での過覚醒や全印象の過剰な刻印を脱するためには「まず情報のインプットを減らし、明るく静かな環境において体力を回復すること」、何ごとも強制しない「信頼できる人物が余裕をもってそばにいてくれること」2018/09/04
伊勢田和良
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中井久夫先生の「中井久夫著作集 第一巻 分裂症」を読みました。 1984年発行で、1970年代の中井先生の精神障害に関する学術論文集です。 もう引退されていますが、40才代の現役の精神科医として活躍されていた頃の論文集です。 日本の精神病理学の第二世代を代表する先生の水準の高い論文です。専門用語が多く、読むのに時間がかかりました。 2002年に、精神分裂症の呼称が、統合失調症に変更されましたが、本のタイトルは当時使われていた「分裂症」です。 症状からみて「精神分裂症」は妥当でない、「統合」「統一2015/05/14