目次
第1部 解離研究の過去と現在(「他者」としての交代人格と出会うこと;交代人格を「部分」として扱う歴史的な経緯 ほか)
第2部 解離と脳科学(転換性障害における他者性;意識は常に一つの統合体である ほか)
第3部 解離性障害にどう対処するか(司法領域における解離と他者性(1)―責任能力とは何か
司法領域における解離と他者性(2)―「責任能力」をめぐる動向 ほか)
第4部 解離性障害のこれから(解離性障害は「障害」なのか?;座談「交代人格といかに出会うか」)
エピローグ 臨床における他者との出会い
著者等紹介
岡野憲一郎[オカノケンイチロウ]
1982年東京大学医学部卒業、医学博士。2022年京都大学を退官、同大学名誉教授。現職:本郷の森診療所所長。米国精神科専門認定医、国際精神分析協会、米国及び日本精神分析協会正会員、臨床心理士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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in medio tutissimus ibis.
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解離性障害とは、自分の脳の中に幾つかの他者が成立している状態である。統合失調症における他社製の病理が超越的な存在であり実際の姿を見せないのに対し、別の主体として個性を持っている。精神分析はフロイト以来その存在を否認することを主流としてきたが、それは一つには「他者」を扱うことが一般的に困難である事に求められよう。世俗的な慣習に逆らい、哲学的な領域で自己/他者の捉え方を再構築する事になるからである。交代人格あるいは夢の中の自分を自分の部分としてではなく、そうした存在が自分に住んでいると認識すべきなのである。2025/05/29
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