死の不安に向き合う―実存の哲学と心理臨床プラクティス

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死の不安に向き合う―実存の哲学と心理臨床プラクティス

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  • サイズ 46判/ページ数 304p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784753311347
  • NDC分類 114.2
  • Cコード C3011

出版社内容情報

実存主義的心理療法家で小説家であるヤーロムによる古今の哲学,自身の体験,クライエントから学んだ「死への怖れ」の論考。(「改題」(羽下大信)より抜粋)
 この本は、彼自身の心理臨床の活動の中での、死をめぐってのクライエントとのかかわり、それに刺激されての彼の思考、自らの中に飼ってきた死のテーマの再発見、そこから立ち現れる死のリアリティに触れようとする。登場するのは、自分のクライエント、尊敬する師、友人、先哲とりわけエピクロス、実存的スタンス、また短くだがドーキンス、文学作品。ヤーロムは、これらを介することで、先ほどの「生死の実感」とは別の方法から、「他人の死」のその先を描こうとする。
 この本の美点は何だろうか。その第一は「率直であろうとする態度」ではないか。とりわけそれが鮮明に表れるのは、死に向かおうとする人に相(あい)対して、対人援助者としてかかわるとき、である。その具体的な展開のさまざまは本文に譲るとして、ひとつだけ例を挙げれば、あるクライエントが自分の生活の全てを整理して高齢者住宅に引っ越す際の、最後の最後になってパニックに陥り、電話をかけてくる。いつ切れるか分からない緊迫したやり取りが展開され、一定の落ち着きを見たのちの振り返り。ヤーロムは、このクライエントとのやり取りの中で、自分の語った言葉の内容・意味(コンテンツ)は意味があるものだった、とか、どれかのフレイズが有効だったのだろう、とは、決して考えない。では何が有効だったのか。ここから先の叙述が、この本の真骨頂だろう。
 もうひとつ美点を挙げれば、ヤーロムは、畏友とも言えるロロ・メイの最晩年とその最期に付き添う。また、かつての師匠たちの晩年とその孤独の傍にいる。このいずれの場合にも、「その人」たちから見たら、自分はどういう存在かに、必ず思いを致す。この点が、なかなかに魅力的である。このスタンスは、何も、対人援助専門家だけのものではない。また、逆に言えば、残念ながら、このスタンスを持ちえないままの対人援助専門家も多々いるのが現実である。普通の人の中にも、こうしたスタンスに意識的な人々も存在する。こうした人たちに巡り合うと、われわれはハッとする。その意識の実存的ありようを見せられ、大事なものに触れるからである。
 ヤーロムが、かつて影響を受け、あるいは世話になった人たちの晩年に、最後まで会い続けること。それも、ときには西海岸から東海岸という長大な距離を跨いで。そのこと自体も、なかなかに実行し難く、我と我が身を振り返っても、冷や汗の出る思いである。このように、この本は読むうちにこちらを我に帰らせる。そのようにさせる喚起力がある。それは、死のテーマは、誰か他人のものでもなく、それにかかわる専門家のものでもない、この「私」のものである。彼がそう言っていることからやってくるのだろう。

第一章 人は死ぬ
第二章 死の不安を認める
顕在化した不安 死の不安は何かの置き換えではない 隠れた死の不安 「漠然とした不安」とは、死の不安である
第三章 覚醒するという体験
「見ること」と「存在を問うこと」 人生の最後に覚醒する――イワン・イリイチの場合 悲嘆と覚醒の体験 重大な決定と覚醒の体験 人生の節目と覚醒の体験 覚醒の体験としての夢 面接の終結と覚醒の体験
第四章 思考の力
エピクロスの叡智 波及作用 死の不安を越える、思考の力を借りて ショーペンハウアーと三つの生き方――人はどう生きるか、何を所有するか、他人にどう映っているか
第五章 死の恐怖を超える
人同士が結びつくこと 「そこにいる」という力 自己開示 波及作用が働くとき 自らの中の叡知を発見する 人生を充足させる 目覚め、それを生きる
第六章 死に目覚める──私の場合
死に直面する 死との出会い 自分の潜在可能性を見出す 私の師とその死 死と向き合う 宗教と信念 死について書くこと
第七章 死への不安に取り組む──セラピストへの助言
「実存的」とはどんな意味か? コンテンツとコンテキスト 死の不安と関係の力 〈いま・ここ〉の作業をする セラピストの自己開示 夢 ――〈いま・ここ〉に至る道
訳者あとがき
解 題

I.D.ヤーロム[ヤーロム]
著・文・その他

羽下 大信[ハゲ ダイシン]
翻訳

目次

第1章 人は死ぬ
第2章 死の不安を認める
第3章 覚醒するという体験
第4章 思考の力
第5章 死の恐怖を超える
第6章 死に目覚める―私の場合
第7章 死への不安に取り組む―セラピストへの助言

著者等紹介

ヤーロム,アーヴィン・D.[ヤーロム,アーヴィンD.] [Yalom,Irvin D.]
医学者。スタンフォード大学医学部名誉教授。専門は実存療法、集団精神療法

羽下大信[ハゲダイシン]
1949年生まれ。広島大学大学院博士課程(教育心理学専攻)中退。臨床心理士、住吉心理オフィス主催

上村くにこ[ウエムラクニコ]
1944年生まれ。大阪大学文学部仏文科博士課程修了、パリ第四・ソルボンヌ大学博士号取得。甲南大学名誉教授

饗庭千代子[アイバチヨコ]
1944年生まれ。関西学院大学文学部仏文科修士課程修了。元甲南大学非常勤講師

宮川貴美子[ミヤガワキミコ]
1965年生まれ。甲南大学大学院・人文科学研究科博士後期課程単位取得後退学、修士(文学)、臨床心理学専攻。臨床心理士、スクール・カウンセラー、産業カウンセラー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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2
実存的心理療法において現在存命している人では最大の影響力を持つヤロムが、死を中心テーマにして書いた本。大きな期待を持って本書を読んだが、良くも悪くも期待を裏切らないものだった。彼の、宗教やスピリチュアルな見方を徹底的に排除して死を論じる姿には感服した。死の不安にどう対処するかという点においては、エピクロス哲学が中心的な役割を担っている。これは哲学に詳しい人にとっては王道であり、かつ平凡なものでもある。しかし彼はこうしたアイディアだけでなく、セラピストとクライエントとの良質な関係も重要であると論じている。2022/07/01

shin

0
自らのカウンセリング経験と、自らの死への不安への向き合い方を通じて、カウンセラーがクライアントの死への不安にどう向き合わせるかの実践知を授けるとともに、自らの不安にも向き合うヒントを与えてくれる。名人芸とも言えるセラピーの力を感じることができる。2018/12/01

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