目次
第1部 解離と脳科学、精神分析(解離と脳科学、愛着理論―アラン・ショアの仕事;トラウマ記憶、解離、再固定化;再固定化の治療への応用―ブルース・エッカーらの試み;トラウマ記憶の知見を解離の治療に応用できるか?;解離と精神分析(1)―ドンネル・スターンの理論
解離と精神分析(2)―フィリップ・ブロンバーグの理論)
第2部 解離治療の最前線(どのように出会い、どのように面接するのか?;どのように診断するか?―DSM‐5による変更点を取り入れて;どのように鑑別するか?;どのようにトラウマを扱うか?;どのようにDIDを治療するか?;どのように再固定化療法を治療に用いるか?;どのように子どもの人格部分を扱うか?;解離に基づく非力動的な精神分析理論;気になる解離の論客たち)
著者等紹介
岡野憲一郎[オカノケンイチロウ]
1982年東京大学医学部卒業、医学博士。1982~85年東京大学精神科病棟および外来部門にて研修。1986年パリ、ネッケル病院にフランス政府給費留学生として研修。1987年渡米、1989~93年オクラホマ大学精神科レジデント、メニンガー・クリニック精神科レジデント。1994年ショウニー郡精神衛生センター医長(トピーカ)、カンザスシティー精神分析協会員。2004年4月に帰国、国際医療福祉大学教授を経て現職、京都大学大学院教育学研究科臨床心理実践学講座教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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evifrei
21
DIDを脳科学的見地から考察する。解離を、強い解離・弱い解離に分類し、DIDを強い解離と位置付けた上で、性的トラウマのみに拘ることなく、DIDをPTSDがもたらす脳科学的病変に由来すると捉えたアプローチをする。後半では臨床における問題点・子供人格を如何に扱うか、他人格の記憶を想起させる事の危険性等が検討される。子供人格は全く相手にしないという治療者もいるようだが、子供の本能的な「甘えたい」という感情が阻害された結果生じた人格を全く無視よりも主人格の生活と折り合いを考え接するのがベターというのが筆者の見解。2020/10/01
木麻黄
4
ブログの内容を、再構成して書籍にしたという感じです。これまでの著作に感銘を受けることもあったので、正直残念な感じがしました。私には、本を飛ばし読みできないという技量上の限界があったのですが、今年に入ってから、それが少しずつできるようになりました(読書量の増加につながる)。躊躇いなく飛ばし読みできたのは、本書が初めてです。著者の大脳至上主義的な視点は、フロイト流精神分析への固執から来るのでしょう。臨床の趨勢としては、脳と身体との相補的な機能に焦点が移りつつある中、新時代感は全く感じられない内容でした。 2020/05/14
うえだしゆう
0
☆☆☆☆☆2017/10/03
とも
0
第一部は理論、第二部は最近の臨床現場という感じ。第一部の内容はあまり頭に入らなかったが、精神分析における日常的解離(弱い解離)の捉え方が新しかった。第二部はとても読みやすかった。シナプスの興奮と抑制仮説は支持する。引用された脳コヒーレンスの論文が気になる。2021/01/21