内容説明
精神科医療で大きな問題となっている多剤・大量処方の現状を改新すべく、臨床というフィールドワークにおける試行錯誤から得た経験の集大成として著者が提示する、エキスパート・オピニオン。発達障害とトラウマを見落とさないために、その診断と治療に関する整理を行い、ついで少量処方の実際と、いくつかのパターンに分けられる、誤った診断に基づく誤った処方の具体例、そうした症例に対処する治療実践について、臨床的な経験を示す。最後に、このような少量処方の臨床が有効な根拠についての試論を行う。
目次
第1章 発達障害とトラウマへの薬物療法
第2章 発達障害はどこまで広がるのか
第3章 発達障害とトラウマ
第4章 統合失調症診断と抗精神病薬による治療をめぐって
第5章 気分障害をめぐる混乱
第6章 気分障害をめぐる誤診のパターン
第7章 少量処方
第8章 EMDRを用いた簡易精神療法
付録1 発達障害の診療のコツ
付録2 パルサーを用いた4セット法による簡易EMDR
著者等紹介
杉山登志郎[スギヤマトシロウ]
1951年静岡市生まれ。久留米大学医学部卒。名古屋大学医学部精神科、愛知県心身障害者コロニー中央病院精神科医長、静岡大学教育学部教授、あいち小児保健医療総合センター保健センター長などを経て、浜松医科大学児童青年期精神医学講座特任教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひろか
9
杉山先生の著書は評価がなかなか難しいと感じる。他の著名な方々はどうみているのか。パルサーを用いたEMDRの具体的な手続きも紹介。パルサーがほしいが、手に入れ方がわからない。2015/08/01
ソーシャ
2
『はじめの一歩』が本流なら、こちらは邪道の一冊。発達障害臨床を巡る様々な問題についての議論や、著者の提唱する少量処方のやり方を紹介した本。あくまでエキスパートオピニオンと言われるとそうなのですが、著者の愚痴と相まって独特な魅力があります。ただ、やり方が本当に独特なので、児童精神科の世界でどの程度有力な意見なのかがちょっと気になりますね。2022/06/10
Asakura Arata
1
我々がうまく薬を使えていない現実があるので、このような本はありがたい。 リチウムの少量処方は、粉末にすると酸化してしまうので、保存が難しくなるところが悩みどころであるということを聞いたことがある。2015/11/15
newpapa
1
杉山先生の率直な語り口に引き込まれました。向精神薬について知識が乏しいからといって、全て医者任せにしてはいけない。医者にもよく分かっていない人が多いのだと思いました。2016/08/22