内容説明
妊娠時には体内で黄体ホルモン(progesterone)が大量に分泌されていることから、体外からプロゲストーゲンを投与すれば排卵が抑制され、避妊効果があるのではないかとの発想のもとに、1951年にステロイドホルモンによる動物実験が、引き続きヒトでの臨床実験が進められ、1960年Enovid10が世界最初の経口避妊薬、いわゆるピルとして米国食品医薬品局(FDA)により認可された。しかし、わが国においては、いまだにピルを避妊薬として使用することが正式に認可されていない。その理由は偏にピル服用に基づく副作用の面が考慮され、その安全性に疑問がいだかれていたからにほかならない。しかし、今や諸外国では、安全性の向上を目的として開発され改良されたいわゆる低用量ピルが普及し、副作用の危険性も極度に軽減され、従来のピルと比較し相対的に安全性も高いといわれる。本書は、これら低用量ピルのわが国においての治験成績を中心とし、その安全性や副作用などについて記述した。
目次
家族計画
避妊法
経口避妊薬とは
低用量ピル
ピルのいろいろな作用
ピル服用による効用
ピルの心理的、社会的、道徳的影響
若年女性とピル
わが国で使用される低用量ピルの概要とその特徴
ピルの処方に際して―適応と禁忌
低用量ピル服用の実際
新世代の低用量ピル〔ほか〕