内容説明
人類学者・岩田慶治の仕事、仏教の思想と論理、そして現代の存在論―アニミズムの今日性を問う、文化人類学と哲学の対話。
目次
第1章 アニミズム、無限の往還、崩れる壁
第2章 トライコトミーTrichotomy(三分法)、禅、アニミズム
第3章 対談1 奥野克巳×清水高志
第4章 他力論的アニミズム
第5章 アニミズム原論―“相依性”と情念の哲学
第6章 対談2 奥野克巳×清水高志
著者等紹介
奥野克巳[オクノカツミ]
立教大学異文化コミュニケーション学部教授。北・中米から東南・南・西・北アジア、メラネシア、ヨーロッパを旅し、東南アジア・ボルネオ島焼畑稲作民カリスと狩猟民プナンのフィールドワークを実施
清水高志[シミズタカシ]
東洋大学教授。井上円了哲学センター理事。専門は哲学、情報創造論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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テツ
14
森羅万象に人格(神格)を見出して生きていられたのなら、人間はこんなに寂しくないのではないかとこどもの頃から考えてしまう。種としての寂しさってアニミズム的な価値観が陳腐なものとされた瞬間に生まれた気がするんだよな。ぼくたちの肉体も魂もホモサピエンス以外の世界からは切り離されてしまった。ぼくたちはぼくたちだけで完結してしまう理想的な世界を創り上げたけれど、そこには何もなく、誰もいない。ここには人間以外、誰もいない。声も聞こえず姿も見えず、罰も恵みも与えられない。寂しいよな。種としての孤独に満ち満ちた世界。2023/03/12
内島菫
13
「A」と言うこと自体にすでに「非A」があり、「A」は「A」と名前を与えられ限定された瞬間から意味が狭められ固定されてしまう。つまり端的なAであることを失い、ある種の作為(取り決め・契約)を抱え込んでしまうことになる。人間は少なくとも言葉を手に入れた瞬間から、それ以前のあり方と構造的な反転をしてしまったのだろう。その構造的な反転をテトラレンマのうちに凝縮されていることを読み解く、第五章の清水氏の論文「アニミズム原論」の注釈11は注釈ながらも重要で、まさに時空がなくなるような「開け」の感覚を体験できる。2023/06/30
ishii.mg
1
どうにか読了。仏教哲学者清水高志と人類学者奥野克巳の共著でそれぞれのパートとそれをつなぐ対話で構成されている。清水パートは難解でひいひい。奥野パートはそこはかとなく理解しやすい。最後の対話でようやく全体像が理解できたかな?どちらも近代を根底から考え直すラディカルな思想であった。仏教系、やさしいところで五木の「他力」あたりを読んでみよう。2025/03/07
四葉酩酊
0
再読望む 2024/01/03