キャリバンと魔女―資本主義に抗する女性の身体

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キャリバンと魔女―資本主義に抗する女性の身体

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  • サイズ B6判/ページ数 517p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784753103379
  • NDC分類 367.23
  • Cコード C0010

出版社内容情報

書評で読む

16、17世紀の欧米を席巻した魔女狩りによって迫害・処刑された女性たちとその身体こそ、〈資本主義〉が恐れ、強制的に統治しなければならなかった存在であり、シェイクスピアの戯曲『嵐(テンペスト)』に登場するキャリバンこそ、資本主義が生んだ植民地支配への象徴的な抵抗者だった……。

「家事労働に賃金を!」のスローガンを掲げ、フェミニズム運動の中心的活動家のひとりであるシルヴィア・フェデリーチは膨大な歴史資料・民族誌の読解を通じて、マルクスの本源的蓄積、フーコーの身体論を批判的に検討。彼らが描ききれなかった魔女狩りから植民地支配、今日のグローバルな規模で実施されるIMF・世界銀行の構造調整プログラムによる搾取を、資本主義による女性への暴力と支配の歴史として、フェミニストの視点から書き換える意欲作。

序章

第1章 世界中に待ち望まれた衝撃――中世ヨーロッパ社会運動と政治危機

 はじめに

 階級関係としての農例奴制

 共有地(コモンズ)をめぐる闘争

 解放と社会的分断

 千年王国運動と異端運動

 セクシュアリティの政治化

 女性と異端信仰

 都市の闘争

 ペストと労働の危機(レイバー・クライシス)

 性政治、国家(セクシュアル・ポリティクス)の出現、そして反革命

第2章 労働の蓄積と女性の価値の切り下げ

     ――「資本主義への移行」における「差異」の構築

 はじめに

 ヨーロッパにおける資本主義的蓄積と労働の蓄積

 ヨーロッパにおける土地の私有化、欠乏の生産、再生産と生産の分離

 価格革命とヨーロッパの労働者階級の窮乏

 労働力の再生産への国家の介入――貧民救済と労働者階級の犯罪化

 女性労働の価値の切り下げ

 女性――新たなコモンズ、失われた土地の代用品

 賃金の家父長制

 女性の調教、女らしさと男らしさの再定義――ヨーロッパにおける未開人としての女

 植民地化、グローバリゼーション、女性

〈植民地における人種・階級〉から〈植民地における性・人種・階級〉へ

 資本主義と性別分業

第3章 偉大なるキャリバン――反抗する身体との闘い

第4章 ヨーロッパの魔女狩り

 はじめに

 魔女あぶりの時代と国家主導

 悪魔信仰と生産様式における変化

 魔女狩りと階級的反抗

 魔女狩り、女狩り、労働の蓄積

 魔女狩りと男性優位――女性の調教

 魔女狩りとセクシュアリティの資本主義的合理化

 魔女狩りと新世界

 魔女、治療者、そして近代科学の誕生

第5章 植民地化とキリスト教化――新世界のキャリバンと魔女

 はじめに

 人食い(カニバル)の誕生

 搾取、抵抗、悪魔化

 アメリカ大陸の女性と魔女

 ヨーロッパの魔女と「インディオ」

 魔女狩りとグローバリゼーション

訳者解題

原注

参考文献

シルヴィア・フェデリーチ[シルヴィア フェデリーチ]
1942年イタリア生まれ。1967年よりアメリカに渡り、ニューヨークを拠点にフェミニストとして研究・活動を行う。フェミニズムや教育に関わる運動、死刑廃止運動、反核運動、グローバル・ジャスティス運動等にたずさわり、近年ではスピーチや講演活動を通じて、オキュパイ・ウォールストリート運動を支援。アメリカだけでなくヨーロッパ、アフリカ、ラテンアメリカなどの多くの地域を訪れ、知的交流を重ね、ナイジェリアのポートハーコート大学でも教鞭をとる。現在はニューヨークのホフストラ大学の国際関係学・政治哲学の名誉教授である。
主著:Revolution at Point Zero:Housework,Reproduction,and Feminist Struggle,PM Press,2012.
共著:レオポルディーナ・フォルトゥナーティ共著Il Grande Calibano.Storia delcorpo sociale ribelle nella prima fase del capitale,Franco Angeli,1984.
編著:Enduring Western …

小田原 琳[オダワラ リン]
1972年生まれ。東京外国語大学大学院地域文化研究科修了。学術博士。現在、東京外国語
大学総合国際学研究院講師。イタリア近現代史、ジェンダー・スタディーズ。
共著:『イタリア国民国家の形成』(日本経済評論社、2010年)
   「「平和の犯罪」としての戦時・植民地主義ジェンダー暴力」(『ジェンダー史学』第12号、2016年)など。

後藤 あゆみ[ゴトウ アユミ]
大阪府立大学大学院博士課程単位取得。
翻訳:マイク・ディヴィス「革命はこれからだ」「ゾンビ」(『現代思想』2017年)など。


内容説明

マルクスの本源的蓄積、フーコーの身体論を膨大な歴史資料と民族誌の分析を通して批判的に検討。16、17世紀の欧米を席巻した魔女狩りや植民地支配、そして今日のグローバルな規模で実施されるIMF・世界銀行の構造調整プログラムにいたるまでの資本主義の歴史を、女性に対する暴力とその抵抗の歴史として、実証的なフェミニズムの見地から読み替える壮大な意欲作。

目次

序章
第1章 世界中で待ち望まれた衝撃―中世ヨーロッパ社会運動と政治危機
第2章 労働の蓄積と女性の価値の切り下げ―「資本主義への移行」における「差異」の構築
第3章 偉大なるキャリバン―反抗する身体との闘い
第4章 ヨーロッパの魔女狩り
第5章 植民地化とキリスト教化―新世界のキャリバンと魔女

著者等紹介

フェデリーチ,シルヴィア[フェデリーチ,シルヴィア] [Federici,Silvia]
1942年イタリア生まれ。1967年よりアメリカに渡り、ニューヨークを拠点にフェミニストとして研究・活動を行う。フェミニズムや教育に関わる運動、死刑廃止運動、反核運動、グローバル・ジャスティス運動等にたずさわり、近年ではスピーチや講演活動を通じて、オキュパイ・ウォールストリート運動を支援。アメリカだけでなく、ヨーロッパ、アフリカ、ラテンアメリカなどの多くの地域を訪れ、知的交流を重ね、ナイジェリアのポートハーコート大学でも教鞭をとる。現在はニューヨークのホフストラ大学の国際関係学・政治哲学の名誉教授である

小田原琳[オダワラリン]
1972年生まれ。東京外国語大学大学院地域文化研究科修了。学術博士。現在、東京外国語大学総合国際学研究院講師。イタリア近現代史、ジェンダー・スタディーズ

後藤あゆみ[ゴトウアユミ]
大阪府立大学大学院博士課程単位取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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koke

12
再読。世界史のなかで魔女狩りは、暗黒の中世のひとつのエピソードとして流されがち。しかし、下層階級の女性ばかりが何万人も虐殺された異様な事件だ。その異様さに気づけない私たちこそ異様だろう。度し難い昔の人がやったことと片付けないで、思想史や政治学など、様々な視点から検討するに値する。フェデリーチはそれをやり遂げ、魔女狩りを資本主義システム離陸の契機として明確に位置づけた。つまり魔女狩りは今ある経済の基層であり、過ぎ去った過去ではない。実際、80年代になってアフリカなどで魔女狩りは再発していると言う…。2022/08/22

owlsoul

10
資本主義によって労働力は商品となった。しかし、「再生産」にかかわる労働、つまり家事・出産・育児といったものは「自然の営み」として賃金労働から除外され、それらを担わされた女性たちは圧倒的な搾取を受ける立場となった。システムを維持するため女性の社会的地位は政治的に貶められ、そのような制度的抑圧はやがて「魔女狩り」という果てしない暴力へと発展する。現代においても、女性の社会進出が少子化の要因だという人々がいるが、著者にいわせれば「女性の自由参加によって崩壊するようなシステムがそもそもおかしい」ということだろう。2023/01/02

koke

8
フェミニズムの視点から、マルクスとフーコーを批判しつつ繋ぐ、シンプルで力強い議論。資本主義を始動させた「本源的蓄積」は「囲い込み運動」とイコールではない。むしろ16,7世紀の魔女狩りが重要。西洋史の奇妙なエピソードとして流されがちな魔女狩りだが、はっきり言ってホロコーストである。こうして作られた「ジェンダーという階級」は、今なお資本主義の土台として残っている。2022/03/18

nranjen

7
図書館本。目から鱗の素晴らしいジェンダー史本。農奴囲い込みが行われ、資本主義社会に移行する際に、女性の価値が切り下げられ、排除され、迫害され、男性による女性支配、家父長制が確立されたことを明らかにした本。魔女狩りが特定の性別、階級、年齢を狙った「ジェノサイド」であったという著者の指摘には、まさに的の中心が射抜かれた感がある。フーコーやギンズブルグの盲点をつくこのようなフェミニズムの視点は「歴史」を捉える上で非常に重要だと思った。疫病流行後などの混乱後の弱者の公的迫害は終章にあるよう過去の出来事ではない。2021/01/29

よしー

4
本書は16~17世紀にかけて行われたヨーロッパ大陸での魔女狩りを分析し、資本主義の基礎的過程である「本源的蓄積」において、魔女狩りが女性の自律性を奪い経済的資源へと変え、支配層に抵抗する農民・都市労働者を分断するという、資本主義発展のためのシステムとして機能していたと明らかにする。 そして、アメリカ大陸での魔女狩りを例にし、資本主義のグローバルな拡大とともに魔女狩りが広がったこと、80・90年代における魔女狩りの再発は「本源的蓄積」の一過程の兆候であったことを指摘する。 非常に読みやすく良書。2018/07/22

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