内容説明
思考の外部に触れる。近代社会の全体を外から俯瞰する視線がリアリティを喪失しつつある現在、主体の内部作用という薄明の言説領域に足を踏み入れながら、異世界性に触れようとする思考の冒険。
目次
“近代”の深さへ
情念の体制
社交の起源
修辞学と情念―一五三〇~一六〇〇
情念論の形成
過剰と秩序―一七世紀の問題構制
二世界性
自体的記号の理論―「キャラクター」の地平(1)
記号・修辞・意図―「キャラクター」の地平(2)
個体性の転形―「キャラクター」の地平(3)
感情の体制―感覚・反省・語り
慈愛心と自己愛
美・道徳・感情
表象と「コミュニケーション」―美・道徳・感情(2)
感覚のジャンル化、共感のスペクタクル―美・道徳・感情(3)
観相学の地平
映像と超‐内面
著者等紹介
遠藤知巳[エンドウトモミ]
1965年大阪生まれ、1987年東京大学文学部社会学科卒業、東京大学大学院博士課程(社会学)単位取得退学。現在、日本女子大学人間社会学部教授。社会学(近代社会論、言説分析、メディア論、社会理論)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぷほは
3
『フラット・カルチャー』の編者であり、『観察者の系譜』の訳者の、待望の単著。16~19世紀にかけて、デカルトを震源とする情念論からベーコン、ホッブズ、ロック、シャフツベリらの記号論・言語論、そして進化論や現代の社会理論にまで延びる観相学の言説史が、修辞学・倫理学・美学・生理学等の知を穿いていく。それまでは英語圏の文献が主なだけに、最後の章で「ディスコース」ではなく「ディスクール」が現れるのがやや唐突に感じられたが、その唐突さも狙いなのだろう(642頁の衝撃)。ざっと通読した限りだが、以下コメントに雑感を。2016/03/02