出版社内容情報
家族をなくし、過酷な暮らしをおくるシンはある日、朽葉の里に住むマボウに引き取られ、山で生活することに。マボウに憧れ、薬師になった頃、都から一人の薬師がやって来て、銀樹から作られた秘薬が欲しいと言ってくるが…。
内容説明
家族をなくし、過酷な暮らしをおくるシン。ある日、朽葉の里に住むマボウに引き取られ、山で生活することに。マボウに憧れ、薬師になった頃、都から一人の男がやってきて、銀樹から作られた秘薬が欲しいと言ってくるが…。
著者等紹介
森埜こみち[モリノコミチ]
岩手県生まれ。第19回ちゅうでん児童文学賞大賞を受賞した『わたしの空と五・七・五』(講談社)でデビュー。同作で第48回児童文芸新人賞を受賞。『蝶の羽ばたき、その先へ』(小峰書店)で、第17回日本児童文学者協会・長編児童文学新人賞、および第44回日本児童文芸家協会賞を受賞
日下明[クサカアキラ]
イラストレーター・グラフィックデザイナー。イラストレーションを軸に、グラフィックデザインまで手がける。個展、グループ展など、展覧会でも作品を発表。絵の制作は、Photoshopのみで制作している。また、絵と音と言葉のユニット「repair」としても活動。絵とトロンボーンを担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
93
児童書。YA。高品質ファンタジー▽海渡(かいと)で生まれたシンは天涯孤独となり旅一座に売られたが、頭(かしら)から殴られて瀕死になる。シンは朽葉(くちば)の里から塩を買いに来ていた薬師(くすし)に救われ、山で暮らす薬師のマボウの弟子になる。死にかけたシンを救ったのは「銀樹」から作られた奇跡の薬だった。シンは一人前の薬師に成長する。ある日、海渡の薬師が奇跡の薬を求めて朽葉の里にやってきた。銀樹は持ち去られる▽216pの読みやすい分量ですがとても良質。2024.10刊2025/03/05
雪丸 風人
19
時代背景的に入り込みにくいのでは?と懸念しましたが、大間違い。とことん感情移入できる物語ですね。主人公は薬師に拾われ命をつないだ少年。親よりやさしい育て親を師として、彼が同じ道を志すのは自然な成り行きでした。里に伝わる希少な秘薬をめぐる人間模様を描いたストーリーです。人間の欲望の果てにあるどうしようもなさと、知識を共有する先にある可能性のまぶしさの対比が素晴らしかった!人をゆるすことの尊さ、独占への戒めなど、あまねく分かち合いたいと感じる価値観にあふれる貴重な一冊でしたよ。(対象年齢は12歳以上かな?)2024/12/25
いちごプリン
8
一気に読みました。森の中にある銀樹、たった一本しかない樹。その薬樹によって助けられた、またそれを用いた薬師により助けられた話。 惹き込まれました。2025/03/24
鳩羽
6
旅の一座で痛めつけられていたところを助けられた孤児のシンは、助けてくれた薬師のマボウのもとで暮らし始め、やがて同じく薬師を志すようになる。そして助けられた際に飲まされた薬が、銀樹という不思議な木の薬効によると知った。里の薬師になったシンも、銀樹の秘密を守ろうと決意するが…。人の手に余る奇跡の力がどうなるか、予想はつくが、悲しくも希望の残る展開にほっとした。短いながらも、マボウがシンを育て、シンが大人になり、人と関わり、人のための存在になろうとしていくところに、生きがいや幸福のかたちを見ることができた。2024/11/29
いなこ
5
傷を負った少年シンを助けたのは里に住む老長マボウだった。親のいないシンはマボウと山奥で暮らし、やがて薬師となる。そこへ、都から薬師が秘薬の噂を聞き訪れ…。未知なるそれはファンタジーではあるが、他にも自然が示す植物の凄さには単純に感心する。薬師らの考え、分かち合いで知り伝え、知り学ぶは良い。さらっと読了。2025/01/12