出版社内容情報
ぼくってなんのとりえもない、という男の子。鎧のような皮があってサイはいいなぁというと「とんでもない」とサイが答えて…ウサギやキリンなど、動物たちの告白が始まる。それぞれに悩みがあることを迫力のある絵とユーモアで描く。
鈴木のりたけ/作
4歳から
鈴木のりたけ
1975年、静岡県浜松市生まれ。新幹線運転士を経て、イラストレーターに。2006年、第27回読売国際漫画大賞入選。『ケチャップマン』(文芸社ビジュアルアート)でデビュー。著作『しごとば』が、2009年MOE絵本屋さん大賞第3位、2010年版『この絵本が好き』国内絵本第3位に選ばれるなど、ユニークで遊び心がつまった独特の作風で人気を博す。絵本の作品に、「しごとば」シリーズ(ブロンズ新社)、『ぼくのおふろ』『ぼくのトイレ』(PHP研究所)、『かわ』(幻冬舎)などがある。千葉県在住。3児の父。
内容説明
ぼくはさいのよろいのようなりっぱなかわがうらやましい。でもじつはさいはうさぎがうらやましくて…どうぶつたちのなやみとは?
著者等紹介
鈴木のりたけ[スズキノリタケ]
1975年、静岡県浜松市生まれ。鉄道会社勤務、グラフィックデザイナーを経て、絵本作家に。ユニークで遊び心がつまった作風で人気を博す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
324
鈴木のりたけ・作。お話は「北風と太陽」によく似た展開。人間の子どもから始まって、いろんな動物たちの羨望と悩みが次々に語られ、最後は再び子どもに戻って円環を結ぶ。この絵本の生命はやはりそのジオラマ風の絵。立体感と色彩の力強さが独特の空間を作り出す。ことに面白かったのは超首長のキリン、ざるの仕掛けで鳥を待っているネコたち、能天気な♂のライオン。いずれも巧みなデフォルメが上手く機能している。読み聞かせでも、ああだこうだと盛り上がりそうだ。2025/02/01
馨
194
人間だって、強い動物だって大きな動物だって、空を飛べる鳥だって、自分にないものを羨ましいと思う気持ちはある。説得力のある絵本でした。鳥が地上を歩けないと言ったシーンの大量のにゃんこが可愛かったです。2016/04/17
やすらぎ
166
とある町の少年が夜に考え込む。ぼくにはふつうしかない。すごいものも立派なものもなにもない。みんながみんな憧れの存在に見えてしまうときは誰しもあるし、それは夜に訪れることが多いけど、本当にそうなのかな。サイはどうかな。強そうな鎧を纏っているけど大変なこともあるみたい。ウサギだってクジラにだって、いろんなことがあるんだね。そう生まれたからそう生きているんだ。世界のどこかには、恵まれているだけの存在はいるのかな。探してごらん。もしかしたら肩肘ついてゆっくりしているのかも。とんでもないって言われていると思うけど。2025/03/13
紫綺
147
丁寧で個性的な絵。ユーモアと茶目っ気たっぷりのお話が、おもろおかしい。2016/07/23
masa@レビューお休み中
133
やっぱりというか、予想どおりというか…。どうしてこんなにこの物語は一直線に歪んでいるんだろう。常に変化球みたいな物語なんですよね。少年が何もない、何もできない。硬い皮がほしいというと、どこからともなくサイが現れるんです。そして、羨ましがっている少年に諭すように「とんでもない」と言います。そこで終わらないのが鈴木節ですよね。サイの言葉からまた別の動物が出てと、エンドレスに続くかのように「とんでもない」の言葉が連呼します。この流れで、一体どこに不時着するのか…。最後もなるほどと唸らされる終わり方なのです。2016/11/26