内容説明
本書は、川崎市立川中島小学校での低学年の生活科と四年の平和教育、そして現川崎市立浅田小学校での六年の歴史教育を中心にしてまとめたものです。本書は、5章から成り、1は、子どもが「わかる」とは、どういうことなのか、子どもは、どのようにして「学び」を我がものとしていくのか、六年の歴史の授業「日朝関係史」をもとに考えてみました。2は、1994年度、六年生を担任したときの歴史の授業から、「アジアと日本の関係」を視点にした授業、とくに「日朝関係」の歴史の学習を中心にまとめました。3は、新設されようとしていた「生活科」を前にして、一、二年で実践したもの。ここでは、散歩・探検・つくる・いのちの四つの活動群を単元構成の視点にして地域の自然や社会、人とのふれあいによって、子どもたちの育ちを探求します。4では、歴史と現代を見る目を、子どもたちにどう育てるかを視点に、総合学習としての平和教育と歴史の授業の構成原理、人権と平和の認識を育てる授業のあり方を総括的に展開しました。さらに、薬害エイズや「従軍慰安婦」の問題など、小学校の授業としては、なかなかむずかしい課題に挑み、子どもたちは、どこまで理解できるのか、その可能性をさぐっています。5では、教課審の「中間まとめ」の発表を機に、あらためて21世紀の社会科教育課程は、どうあるべきなのか、著者なりに考えたことを提案しようとしたものです。
目次
1 子どもの“問い”が生まれるとき
2 アジアと日本の関係を学ぶ歴史の授業
3 子どもとつくる生活科の授業
4 歴史と現代を見る目を育てる
5 21世紀の社会科教育課程を考える―とくに小学校の場合