感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小木ハム
10
フビライ・ハン大帝国時代。マルコと父親兄弟が旅したこの口述記録をきっかけに西欧とアジアの交易はより盛んになったと伝えられる。「んなわけねーだろ、いい加減にしろ!」というような内容もありますが時は13世紀、人々はファンタジーの中に生きている時代です。山が動いても黄金郷が存在しても不思議ではありません。ジパング(日本)は食人文化・捕虜を殺して食べると信じられており、何じゃそりゃ~なんですが、それを恐れて攻め入る国が少なかったそうなので、仮に国守りのためにデマを広めてたのだとすると嘘も使いようだなと思う。2024/03/15
可兒
5
見聞のうち聞が多くを占めている気がしないでもない。当然ながらキリスト教バイアスはかかりまくり。たしかに、目の前のものを現実と認めて記録に残すあたりは中世から脱している模様だが、大和から唐天竺が全世界と思っていた日本人との違いはあまり見られず、単に実感の問題なのかと考える2009/12/30
MAT-TUN
3
非常に面白かった。フビライ・ハンが偉大なる帝国を築き上げていたころ13世紀後半の中国大陸の様子がよくわかる。また、サラマンダー(=石綿、すなわちアスベストのこと)、当時のヨーロッパでは珍しい紙のお金、黄金の島チパング島のことなど、おもしろいので一気に読める。私はこの書物とともに、同時代、タタール人がキエフを強襲した記事などが詳しいロシアの歴史に関する書籍(例えば「ロシア皇帝歴代誌」)や、日本の元寇のころの日蓮上人の書物「立正安国論」なども興味深く読めた。2011/12/07
白義
2
モンゴル帝国の元に東西世界史が繋がろうとしていた時代の、西洋から見た東洋百科全書と言える書物。出自や信憑性に怪しさもあるものの、紛れもなく貴重な資料だろう。偶像教徒などは当時のオリエンタリズムと宗教と土着信仰の絡み合いを知る上で外せないし、サラマンダーグリフォン(マルコによると前者は石綿で後者は27メートル(!)の鷲だとか)の話も、脱神話化と奇想天外さが半ばして時代の転換期を感じさせる。青木一夫訳は50年前の訳なのに簡潔かつ明晰で読みやすい。あれこれ難しく考えなくても素晴らしく面白い書物だった2010/12/12
sfこと古谷俊一
2
全訳では大半は元とその支配下の領域の話。偶像教徒の占い師として出てくるのは明らかに陰陽師の系譜。宿駅制度は江戸時代のとそっくりだな。当時のヨーロッパの状況からは、豊かで人数とかのスケールのでかい国々は、ホラ話だと思われてしかたなかろうとは思うのであった。2009/10/02