出版社内容情報
私は11歳の私に言いたいのです。取り返しのつく時間はいつでもあると。去り際に祖母が遺してくれた小さな秘密…「生きること」の意味を教えてくれる、心あたたまる物語。
内容説明
こよみさんは、心にぴったり合う魔法のような言葉をつかう「ことばつかい」。咲は「けなげ」「せつない」「さりげない」ということばも教わった。こよみさんは咲の祖母だ。祖父の沢次さんは「生きものがかり」。命あるものはなんでも好き。クマムシの研究をしている。咲は「そーふ」と呼んでいる。ある日、こよみさんが咲に、「わたしの11歳のときの話をするね」「それは、ちょっと勇気のいる話。さ・も・し・い話」だと言った…。去り際に、祖母が遺した小さな秘密…。「生きること」の意味を教えてくれる心あたたまる物語。
著者等紹介
吉田道子[ヨシダミチコ]
東京生まれ。博多、京都で育つ。小学校3年生までに、引っ越しすること6回。それぞれの土地で、ことばの違いやおもしろさに出会う。いまは、湖と峠のある町に住み、川の魚のいろいろを飼っている。『ヤマトシジミの食卓』(くもん出版)で日本児童文学者協会賞受賞
さげさかのりこ[サゲサカノリコ]
静岡県生まれ。イラストレーター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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エル
6
人生は長い。とりかえしのつく時間はいつでもある。その気になりさえすれば。祖母から孫への大切なメッセージ。11歳に生きる意味、勇気を出す意味を教えてくれる物語だった。2023/04/13
nekonekoaki
5
孫むすめが11歳になったとき、自らがその年齢のときに体験をしたさもしい行動の記憶をそっと伝えます。そのことはやがて意外なかたちで遺された家族の一人ひとりをあたたかな愛で包んでくれました。 「…人生は長い、と。とりかえしのつく時間はいつでもあると。その気になりさえすれば。草の背中のようになりさえすれば。」(p53)。その後に続く一編の詩とともに、ジンワリきます。2023年3月30日初版発行。2023/08/20
遠い日
5
66歳で亡くなった祖母のこよみさんから11歳の孫娘、咲への思いの丈を込めたメッセージ。人が生きる上での心のありよう。「さもしい」ことを何より嫌ったこよみさんだが、それは過去の自分への自戒を込めてのことばだった。そーふ(祖父)との愛情深い関わり方で、こよみさんの立ち位置はじゅうぶんわかる。「草の背中」の意味がしみじみ沁みる。しなやかに、流されず、風の中にいる草の在り方。こよみさんの正直な眼差しが痛いように刺さって、咲はすばらしい贈り物をいただいたのだなと感じる。2023/06/15
You
4
2024県課図高学年■語り方にクセがあり、それが独特の詩的風景を生み出しているのは確かなんだけど、誰が誰に向かって何を喋っているのか、それぞれの言動や感情の因果関係だとか、時系列がどうなっているのか等、なかなか汲み取りにくい本だった。物語のテーマと展開とが自分の中でうまく調和せず、感動の化学変化が起きなかった。人物の顔が見えない挿絵で、人の生々しい気配が希薄な空気は清涼で悪くないが、希薄すぎて、キャラクターたちに手応えのあるアニマを感じなかった。今一歩自分の琴線に手が届かない、惜しい本だったという印象。2024/03/18
あつ
3
そーふの心の持ち方がすきです。少し立ち止まって考えてみるきっかけになりました。2023/10/27