内容説明
「コンゴでは女性への性暴力が最大の武器になっている」2018年ノーベル平和賞受賞。世界を動かした医師の告発!性的テロ撲滅のために命をかけて闘う医師の衝撃のノンフィクション!
著者等紹介
ムクウェゲ,デニ[ムクウェゲ,デニ] [Mukwege,Denis]
1955年、コンゴ民主共和国(旧ザイール)東部ブカヴ生まれ。隣国ブルンジで医学を修め、病院勤務とフランス留学を経て産婦人科医に。1999年、ブカヴにパンジ病院を設立、4万人以上の性暴力被害者の治療と支援にあたってきた。また、コンゴ東部に蔓延する性暴力の撲滅と女性の地位向上を国際社会に訴える活動にも取り組み、国連人権賞(2008年)、サハロフ賞(2014年)など数々の賞を受賞。2018年にはノーベル平和賞に輝いた
オーケルンド,ベッティル[オーケルンド,ベッティル] [Akerlund,Berthild]
1954年、スウェーデン生まれ。記者や編集長として雑誌や新聞の制作に携わったのち、フリーランスのジャーナリストとして、スーダン西部ダルフール地方など紛争地帯の取材にあたる。これまでにアフリカ22カ国をまわり、7冊の著作を刊行
加藤かおり[カトウカオリ]
国際基督教大学教養学部社会科学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yutaro13
34
コンゴ東部では村や集落を支配するための安上がりな「武器」が性暴力となっている。被害女性はレイプにとどまらず、銃剣、熱した棒、腐食性の酸などで性器を傷つけられ、村社会には戻れず行き場を失う。著者は過去20年でこうした4万人以上の性暴力被害者の治療と支援に従事してきたコンゴ人医師。何度も命の危険にあっているがコンゴで活動を続けている。ノーベル平和賞受賞と政権交代が氏の活動にとって追い風となることを期待したい。同時受賞のムラド氏の著書も読んだが、世界では無関心でいるにはあまりに凄惨な出来事が起こり続けている。2019/09/01
chie-don
33
「コンゴでは女性への性暴力が最大の武器になっている」「女を修理する男」2018年ノーベル平和賞を受賞されているコンゴ(旧ザイール)の産婦人科医デニ・ムクウェゲ氏の自伝。根深い部族主義、そして世界有数の鉱物資源国コンゴ─社会的に非常に低い地位にも関わらず、働き者で責任感が強い女性に暴力を振るうことは家族全体を攻撃し、その安全を損なうことにつながる。何日も何人にもレイプされた後に膣に加えられる残虐な暴力行為。その凄惨さに恐れをなして、人々が村を捨てると、その土地を支配するのは民兵グループだ。スマホや情報機器→2021/03/03
Akihiro Nishio
31
ノーベル平和賞を受賞し、映画「女を修理する男」で有名なムクウェゲ医師の自伝。コンゴの性暴力については、多少は聞いていたが、まさかレイプしたあとに銃剣で膣に傷をつけるようなものだったとは・・絶句。そして、その性暴力は性欲ではなく、資源を埋蔵する地区から住民を追い出すために、最も効果的で安上がりな暴力であることが指摘される。この犯罪を告発し、政府に対処を求めることで、政府から命を狙われる存在になる。何度も死が迫るが幸運が彼を生かし続ける。そこに神の意図を感じるのは理解できるな。とにかく死なないで。2019/06/22
ロビン
29
2018年ノーベル平和賞を受賞されたコンゴのムクウェゲ医師の自伝。コンゴでは紛争の際に「安価に共同体に深いダメージを与える武器」として徹底的な性暴力が行われており、ムクウェゲ医師は産婦人科医として被害に遭った女性たちを命懸けで治療している。海外で安穏とした贅沢な暮らしもできたのに、あえて危険な祖国に戻られ、命を狙われながら医療を行う厳しい生活を選ばれた。集団レイプの事実を世界に伝えるだけでも身に危険が及ぶのだ。プロテスタントの深い信仰に支えられたその勇気と慈愛の行動に本当に頭が下がる。無知は悪である。2021/11/04
テツ
28
ノーベル平和賞を受賞したコンゴの産婦人科医ムクウェゲ氏の自伝。性暴力というものは敵対する勢力に対する凄まじい武器となる。女性個人の尊厳を破壊し、その女性が属する集団の尊厳も破壊し屈服させるために行われる蛮行。被害に遭った女性たちを治療し癒す著者はその活動故に脅迫され常に身の危険を感じていても決して揺らぐことはない。その信念の根底にあるものは鋼のような信仰心とそこで育まれた愛。信仰は良くも悪くも人を人以上の存在に高めるということを改めて知った。彼の救済に捧げた道は終わらない。2020/09/24