出版社内容情報
ジャッキー・モリス[モリス ジャッキー]
著・文・その他
千葉 茂樹[チバ シゲキ]
翻訳
木内 達朗[キウチ タツロウ]
イラスト
内容説明
シアトルの港に、突然あらわれた白いキツネ。12歳の少年ソロモンは、ふしぎな白いキツネに近づこうと、波止場へ通いつめるが、大人たちは…。心をとざした少年と、罪の意識にとらわれている父。不器用な父と子を変えた長い長い旅の物語。
著者等紹介
モリス,ジャッキー[モリス,ジャッキー] [Morris,Jackie]
1961年、イギリス、バーミンガム生まれ。イラストレーター、絵本作家。バース・アカデミー卒業。動物や自然を描いた多くの作品で知られる。ウェールズ地方の海辺の町在住
千葉茂樹[チバシゲキ]
1959年、北海道生まれ。国際基督教大学を卒業後、児童書編集者を経て、翻訳家に。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
69
YA。アメリカのシアトルで暮らす12歳の少年ソロモン(ソル)は孤独だった。息を詰めるような学校では友達もいない、父とも疎遠でつまらない日々を過ごしていた。ある時ソルは、波止場でまいごのホッキョクギツネと出会う。餌をやりだんだんと仲良くなった少年とキツネは心を通わせる。しかしキツネは捕獲されてしまった。ソルは故郷にキツネを返すために、父とふたりでアラスカを目指す。▽内部のイラストは3か所とてもいい雰囲気。薄い本なので読むのが苦手な子にもおすすめしやすい。良本。2019/09/19
とよぽん
26
タイトルと表紙にひかれて。何と優しく静かで、強い物語なのか。民族の誇り、家族のつながり、人間と自然、動物のつながりを強く訴える物語だ。訳者は千葉茂樹さん。2019/04/20
花林糖
21
(図書館本・購入)シアトルの港に現れた白いキツネと12歳の少年の不思議な絆の物語。住民族への差別を絡めているけれど、重くなりすぎず良い感じで考えさせられるお話でした。2019/06/02
いくら丼
16
交通事故、人種差別、いじめ、異文化摩擦。訳者あとがきにもある通り、短いお話なのに「いくつもの悲しみに彩られ」るからこそ、味わい深い作品になっていると思います。ホッキョクギツネがキーとなって縁となって、ホッキョクギツネ、ホッキョクギツネ、ここでもホッキョクギツネ――。そこここで家族の絆を再構築してくれる。多くは語らずひとかけらでも、こんな風に語ってくれる素敵な物語があるんですね。児童書コーナーで何となく手に取った本でしたが、とても良かった。オーロラの伝承は、実際にアラスカであるものなのかしら。調べてみたい。2022/11/05
おはなし会 芽ぶっく
16
交通事故で母を亡くし、父と2人でシアトルに暮らす少年ソル。黒い髪や目をからかわれ学校になじめない。ある日父が働く波止場に、いるはずのないホッキョクギツネ(白いキツネ)があらわれた。ひとりぼっちのキツネに自分の境遇を重ねたソルは心を通わせるようになり、キツネをふるさとのアラスカに帰しにいきたいと父にお願いする。妻の死から立ち直れない父親、ソルの心の支えの手紙で交流を続けた祖父母、そしていじめの対象になっているソル。それぞれの悲しみが白いキツネによって表面化される。新たな一歩をふみだす力をくれる物語です。2020/01/24