出版社内容情報
故郷を追われ、新天地をめざす旅人たちを勇気づけたのは、1頭の誇り高き白馬だった……!すべてを失い、難民となった人々を明るく照らす小さな希望の物語。
ジル・ルイス[ルイス ジル]
著・文・その他
ジョー・ウィーヴァー[ウィーヴァー ジョー]
イラスト
さくま ゆみこ[サクマ ユミコ]
翻訳
内容説明
故郷を追われ、新天地をめざす旅人たちを勇気づけたのは、1頭の誇り高き白馬だった…!すべてを失い、難民となった人びとを明るく照らす小さな希望の物語。
著者等紹介
ルイス,ジル[ルイス,ジル] [Lewis,Gill]
イギリスの作家。獣医学を学び、獣医として働く一方で、子どもの本の作家としても活躍している。野生生物保護、環境保護に強い関心をもち、弱い立場におかれている子どもに思いを寄せている
ウィーヴァー,ジョー[ウィーヴァー,ジョー] [Weaver,Jo]
イギリスの画家。自然からインスピレーションを得て、主に木炭やインクを使って絵を描いている
さくまゆみこ[サクマユミコ]
東京生まれ。出版社勤務、大学勤務などをしながら翻訳に携わり、現在約250点の翻訳書がある。JBBY(日本国際児童図書評議会)会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モリー
72
〈音楽の力〉を信じますか?音楽には人を癒やしたり、勇気づけたり、落ち着かせたり、様々な効能があると言われます。では、音楽に暴君へ対抗する力や、戦争を止める力があるでしょうか?残念ながら私にはそうは思えません。それどころか、音楽は戦意高揚のために悪用されることすらありますから。しかし、音楽の起源を辿ればそれが間違いだと気付くはずです。たとえ伝承であっても語り継がれることで真実となることがあっても良いのではないかと私は思います。「スーホの白い馬」の伝承がその一つです。「風がはこんだ物語」は馬頭琴↓下に続きます2022/03/26
けろりん
58
満天の星の下、寄る辺なく漂う小舟から立ちのぼる音楽。それは、誇り高き白馬の物語。それは、儚く精密で美しい楽器の始まりの物語。太古の嘶き、蹄の轟き、しんしんと降り積む雪ひら、生命の鼓動、躍動する喜び、戦火の苦鳴、民衆の慟哭。それは、小さな舟に乗り合わせた人びとの物語。自由の歌、風を呼び、この舟を運んで。碧と藍の濃淡で描かれるこの物語を、バイオリン弾きの少年の赤いスカーフを、兄弟の故郷のレモンを、愛しい妻の面影を、希望の色彩で輝かせる朝日を呼んで。2021/03/01
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
45
海原に浮かぶ1艘のボート。そこには故郷を逃げ出した難民たちが乗り合わせていた。ちょっと間違えたら危険と隣り合わせの逃亡。そんな時に主人公の少年ラミがバイオリンと共に語った「スーホの白い馬」。不安な人々に、ひと時の温もり、希望を感じたのではないだろうか。絵も幻想的でとてもストーリーもとても素晴らしかったです。2021/02/19
とよぽん
41
哀しくも美しい物語だった。「スーホの白い馬」が出てくるとは驚き。そして、終盤に至って表紙カバーの絵が腑に落ちた。80ページほどの物語に、突然国や家を追われて真っ暗な海に漕ぎ出した受難の人々の思いが綴られている。文、絵ともに初めて出会った作家と画家だった。2022/06/26
S.Mori
31
私が好きな絵本『スーホの白い馬』を巧みに取り込んだ素晴らしい児童文学です。難民たちが乗り込んでいるボートの中で、ラミがバイオリンを弾きながらあの物語を語ります。物悲しい物語が、ここでは力強いものに生まれ変わっています。ここが一番素晴らしいところです。スーホの不屈の精神がラミを通して、回りの人に伝わっていきます。音楽も物語も人と人をつなぎ、勇気づける力を持っています。そんなパワーを鮮やかに描いた忘れがたい作品です。2020/09/08