内容説明
月のきれいな春の夜のこと。おばあさんが、いつものように、ひとり、針仕事をしていると…「日本のアンデルセン」とよばれた小川未明の、美しい夜の物語。
著者等紹介
小川未明[オガワミメイ]
1882年~1961年。新潟県上越市出身。小説家・童話作家。1925年、早大童話会を立ちあげる。数多くのすぐれた童話を発表し、「日本のアンデルセン」と呼ばれている
高橋和枝[タカハシカズエ]
東京学芸大学教育学部美術科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
170
ほわほわと夜気が満ちる夜。たっぷりとしたあまい月の光だけがおばあさんの物語を知っています。ひそやかな夜の色に溶けてにじむような花の香り。こちょうはきっと花の満ちるおうちに帰れたのかしら。 原作も匂いたつように美しくひそやかな夜の気配にうっとりしたけれど、あわあわと描かれる絵がより一層物語の世界に誘ってくれる。静かな月の晩に開いて蜂蜜ののみものを飲んで眠りにつけば、意識はおばあさんのお庭に飛んでいけそう。【小川未明読み比べ】2019/09/14
nico🐬波待ち中
119
こんなにもまん丸の月が穏やかに瞬く夜ならば、ちょっと変わったお客様が訪ねてきても不思議ではない。町はずれ、一人静かに暮らすおばあさんの元で起こった一夜の出来事。それはとても優しい奇跡。いつも思い出の中を一人さ迷うおばあさんに贈られた、めがね越しの月はいっそう柔らかくおばあさんを照らし、穏やかな春の夜に漂う草花の香が優しく包み込む。気持ちがとても和らぐ物語だった。高橋和枝さんの挿し絵も幻想的で素敵。2020/07/25
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
115
不思議なことが起こりそうな月夜の晩。町のはずれに独りで住んでいるおばあさんの家の戸をノックする音が聞こえます。二組の来客。一人はおばあさんをとても喜ばせ、もう一人は優しい気持ちにさせてくれました。穏やかな夜の童話。暮らしは楽じゃなかったかもしれないけど、ゆったりした時間が流れていた時代の空気を感じます。高橋和枝さん(『りすでんわ』『だるまさんかぞくうみへいく』など)の絵は『春の夜』の雰囲気によく合っています。2015年5月初版。2015/09/27
アキ
97
高橋和枝の絵がやさしい。2015年あすなろ書房出版。アートディレクション・デザインは中嶋香織。淡い色合いのにじんだ風味の絵とおばあさんや少女や見知らぬ男のちょびひげも純朴そうな表情で、幻想的なお話しにとってもマッチしている絵本です。月の絵もとても美しい。小川未明「月夜とめがね」も3冊目で、この絵本が大正時代に書かれた物語に合っていて、一番しっくりくる。2021/05/16
はる
92
一人暮らしのおばあさん。ある美しい月夜の晩におばあさんが針仕事をしていると、不思議なお客が訪れます…。素敵です。幻想的で温かな世界に引き込まれました。高橋和枝さんの絵が素晴らしい。2018/06/17