内容説明
沖縄に生まれ、19歳で上京。貧しさの中にも詩作を続け、茨木のり子をして「精神の貴族」と称された詩人、山之口貘。推敲に推敲を重ねた珠玉の詩編を紹介します。
目次
存在
生きている位置
妹へおくる手紙
自己紹介
求婚の広告
天
喪のある景色
世はさまざま
畳
上り列車〔ほか〕
著者等紹介
萩原昌好[ハギワラマサヨシ]
1939年神奈川県に生まれる。東京教育大学、同大学院を卒業後、埼玉大学教授、十文字女子大学教授を経て、現在に至る。宮沢賢治学会イーハトーブセンター会員
ささめやゆき[ササメヤユキ]
1943年東京生まれ。85年ベルギー・ドメルホフ国際版画コンクールにて銀賞、95年小学館絵画賞、99年講談社出版文化賞さしえ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まさむ♪ね
35
推敲に推敲をかさね、気の遠くなるような時をかけて選びぬかれた魔法のことばたち。どこまでもあけすけで飾ることを知らないことばたち。貘さんの詩を読むとこころがやわらかく、まーるくまーるくなっていく。そのユーモアに体の芯から笑みがこみ上げてきて、自然と笑顔になっている。「精神の貴族」の名にふさわしい透明なこころの持ち主なんだろうな貘さんは。貘さんの幸せそうなにやけ顔が目に浮かぶ愛娘ミミコのことをうたった詩が好き。そしてやっぱりこう呼びたくなるのだこの人は、ありったけの親しみと愛を込めて貘さんと。2015/09/08
Shoko
26
図書館本。今まで読んだことのある詩の中で他の誰のものよりも親近感がわく詩。あけっぴろげで、親しみやすい言葉で書かれており、生活に密着した感じの詩が多い。ものすごくフランクな感じでさらりとした詩なのに、推敲の鬼だったようで、短い詩を一編つくるために何百枚もの原稿用紙が必要だったとか。十五、六年分の詩を集めても59編という少なさだった。特に娘ミミコが登場する詩はどれも微笑ましく、自然と笑みがこぼれる。「妹へ送る手紙」「求婚の広告」「ミミコの独立」が良かった。2019/11/25
遠い日
14
貧しさを自分の糧に変えた詩人、山之口貘。ことばを紡がずにはいられなかった詩人の魂の在りようを見る。ミミコへの尽きせぬ愛を誰憚ることなく歌い上げた一連の詩には、親としての溢れるような思いがふつふつと滾っている。2017/03/28
たまきら
8
うわあおもしろい!こんな言葉使いがいたとは…借りてきた旦那さんに感謝です。彼は獏さんが大好きなんだそうです。さすが哲学科出身…2015/08/19
7petit
8
この本を手に取るまで山之口獏さんのことを知りませんでした。はずかしいし、とても勿体無いことをしたなと感じています。獏さんの詩に対する生き様が文字を通して読む者の体に容赦なく打ち込まれる感じ。こんな感覚、詩で味わえるんですね。2014/03/26