内容説明
差別と貧困の国アメリカは、どのようにして生まれたのか?ハワード・ジンの入門・裏アメリカ史。
目次
コロンブスがはじめた征服の歴史
アメリカの大問題、人種差別と奴隷制のはじまり
ひと握りの金持ちのための社会
「建国の父」たちの素顔
合衆国憲法は本当に画期的だったのか?
初期アメリカの女性たち
欲深き指導者たち
メキシコ戦争
アメリカ政府が黒人奴隷にしたこと
政府はだれのもの?
格差のピラミッド
軍事介入好きな国、アメリカ誕生
著者等紹介
ジン,ハワード[ジン,ハワード][Zinn,Howard]
1922年、ニューヨーク州ブルックリン生まれ。ボストン大学政治学科名誉教授。パリ大学、ボローニャ大学客員教授。政治学者、歴史家、社会評論家、劇作家として活躍中
ステフォフ,レベッカ[ステフォフ,レベッカ][Stefoff,Rebecca]
歴史・科学読み物作家。インディアナ大学で学士号、ペンシルバニア大学で修士号を取得
鳥見真生[トリミマサオ]
東北大学法学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
べあべあ
13
地元の中央図書館が素晴らしく働き者で、時事や季節に合わせた、それぞれ別テーマの本の陳列が三か所あり、更に貸出カウンターにも日替わりテーマで本の紹介が。これはそのカウンターで見つけた本。読み始めからつい独り言で「クソ野郎が」を連発してしまった程、新大陸への冒険者や権力者共の行いが酷過ぎる。共同体の体裁が出来てからも、要は成功した金持ち達が、自分達だけのために舵取りをしてきた国。夢の国でも自由の国でもない。2024/07/23
たくのみ
13
今もアメリカで頻発する暴動。光があれば影がある。栄光にあふれたアメリカの歴史の影に、隠されたダークサイドがあった。暴虐の限りを尽くすコロンブス、インディアンを追い出すジャクソン大統領。逆に、コロンブスを告発した歴史家がいたり、政府に反対したマーク・トゥエイン、ヘレン・ケラー、そして誇り高きチェロキー族。知りませんでした。ダークな歴史の証人インディアンを「ネイティブアメリカン」という言葉で隠ぺいしてしまう権力者たちの意図も、そこから見えてくるようだ。2016/07/23
マイケル
11
米国の真実が書かれた良書。インディアンに対する虐殺、強制移住。天然痘による生物兵器まで使用。連れて来られた黒人奴隷。人種差別と奴隷制と女性差別が当たり前。白人貧困層。一握りの金持ちが多数の貧者を支配。13時間半の労働時間を11時間に減らす要求ストの工場労働者。食事時間も減らそうとしたチャップリンの映画「モダンタイムス」を思い出す。金儲けのためなら何でもする。金で徴兵逃れの富裕層。建国前からずっと戦争してきた米国。メキシコ戦争やキューバ支配、フィリピン支配。武力で拡大した明らかな侵略。現在も変わっていない。2020/09/24
ちー
9
良書。これを読めば何故アメリカが1%の富豪と99%の貧民なのかがわかる。そして何故あれほどまでに差別があるのか、戦争が止まらないのか。そのジェノサイド(まさしく完全な大量殺戮)と人種差別、その根底にある価値観などが窺い知れる。「民衆のアメリカ史」としてアメリカで発刊したときに賛否あり、「何故国の英雄を侮辱するようなことを書くのか!」とバッシングされたようだが、中高生向けに書かれている本作が世にでてくれたことに感謝したい。もちろんこれも一つの歴史の側面である。だが、その側面を知ることも重要だと感じる。2013/10/11
nizimasu
7
アメリカの建国の歴史は収奪と欺瞞の歴史だ。インディアンを制圧し黒人を奴隷として労働力化する。さらには、貧困の白人移民をも管理する。今のアメリカ社会に一貫するシステムは建国から脈々と今も続いているのがわかる。アメリカは自由の国というのもまさに一時のパクスアメリカーナの幻想にすぎない。2013/09/05