内容説明
テキサス州東部、メキシコ湾へと流れこむサビーン川の上流に、うっそうとした森がある。この森に、一ぴきの捨てネコが迷いこみ、千年にわたる不思議な物語は動きはじめた…。現在、25年前、そして千年前。ネイティブ・アメリカンの神話息づく太古の森を舞台にくりひろげられる不思議な物語。2009年ニューベリー賞銀賞受賞作。
著者等紹介
アッペルト,キャシー[アッペルト,キャシー][Appelt,Kathi]
1954年、アメリカ、ノースカロライナ州生まれ。テキサス州ヒューストンのシップチャンネル近くで育つ。テキサスA&M大学卒業後、アイオワ大学でさらに学ぶ。ヴァーモント大学、テキサスA&M大学で創作指導にかかわる教師でもあり、詩人でもある。『千年の森をこえて』で、2009年ニューベリー賞銀賞受賞
片岡しのぶ[カタオカシノブ]
和歌山生まれの岩手育ち。国際基督教大学教養学部卒業。翻訳工房パディントン&コンパニイを夫と共同主宰
スモール,デイビッド[スモール,デイビッド][Small,David]
1945年、アメリカ、ミシガン州生まれ。州立ウェイン大学で美術の学士号を、エール大学で修士号を取得。妻のサラ・スチュワートと制作した『リディアのガーデニング』(アスラン書房)で1998年、コルデコット賞銀賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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NAO
58
不遇な犬と猫の静かで愛に溢れた話と、アメリカ先住民の伝承を融和させたファンタジー。2つの話は複雑に絡みあっているうえに細かく区切られた章は千年以上もの時を移動するため、簡易な文章なのにとても読みにくい。ただそれは、先住民の伝承の世界観を作り上げるために、故意にしていることなのかもしれない。登場するのは愛に飢えた者たちばかりだが、犬と猫たちは犠牲を払ったものの最後には自由になり幸せに暮らすだろうし、「ヌママムシの婆」も最後には愛をとって救われた。可愛そうなのは父親に虐待され冷酷にならざるをえなかった男だ。⇒2024/10/30
mntmt
18
まるで歌のように文章が流れていた。こんな本は初めて。芸術的。原題:The Underneath by Kathi Appelt2015/06/29
ぱせり
15
深い森に吸い込まれるような静かな文章で、詩を読んでいるようでもあった。湿った森の空気を皮膚に感じ、川と木々の匂いもしてくる。子は親から離れて自立する。自立しつつ、親を救いたい、と思いが大きな奇跡のようだった。ひとつの奇跡は、さらなる奇跡を呼び寄せるのかもしれない。2011/08/20
がる
10
2009年ニューベリー賞銀賞受賞作。 昨年の‘読んでる本’を持ち越してしまい、2013年1冊目の読了本。 ばば様の奇跡に感動して、巳年にかかって良かったのかもと思ったり(^_^;) 帯には「ネイティブ・アメリカンの神話息づく太古の森を舞台に~」とあって、詩的な雰囲気の漂う物語でした。 最後の奇跡的な出来事に、人は変わることが出来るんだなぁと、しみじみ感動しました。って、人じゃないけど(笑) 2013/01/02
魚京童!
9
千年の思いを超えて、今。2024/06/27