内容説明
百姓のパホームは、苦労しながら自分の土地を手に入れ、少しずつ生活も楽になっていきます。けれども、裕福になればなったで、もっと、もっとと、だんだん欲が出てきて…。
著者等紹介
北御門二郎[キタミカドジロウ]
1913年、熊本県生まれ。東京帝国大学(現東京大学)英文科中退。1938年、トルストイから学んだ「絶対的非暴力」を貫き、兵役を拒否。以後、「トルストイも言うように農耕が一番罪がない」と、熊本県水上村湯山にこもり、農業を営むかたわら、トルストイの研究・翻訳にその人生を捧げた。1979年、「トルストイ3部作『アンナ・カレーニナ』『戦争と平和』『復活』」(東海大学出版会)の翻訳により、第16回日本翻訳文化賞を受賞。2004年、死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
266
トルストイによる民話風の物語。主人公のパホームは、けっして不正を働いたわけではないが、欲張り過ぎたがために命を落とし、結局は自分の墓穴しか土地を手に入れることはできなかった。普通にはバカだなあと笑われそうなのだが、見方を変えてみれば、それだけロシアの零細農民たちの土地に対する憧れと執着が強かったことの証でもあるのだろう。長年、それこそ父祖の代から彼らは土地を持たないがために苦難に耐えてきたのである。パホームがバシキールの地で見た夢は、せめて彼につかの間の幸福をもたらしただろうか。2025/02/26
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
15
ブログに書きました。土地を獲得し損ねた本当の原因は?「意外な事実、できる女こそ占いに頼る」https://connectron.love/2022/12/book/24288/ 2022/12/03
ベランダ
15
既得権益でぬくぬくするのも悪くはないのかもしれない。でも、人と比べて悔しがったり、人のものまで欲しがるようになったり、出し惜しみして人に意地悪く接するようになったら、手に入るものは激減するし健康も失うことになる。人が幸せになるために必要な土地はわずかであるが、わずかな土地で幸せになるにはその人の心の余裕が必要なのだなと思う。身につまされる話でした。どんな状態にいても心の平安を求め、まわりのみんなと豊かに生きたいと思う。2019/08/23
カタコッタ
15
自分に必要な物って実はそれほど多くない。身につまされるお話です。すでに大作家になっていたトルストイが民話の形で人間の本質を書く勇気。奥の深いお話でした。2019/02/25
糸遊
11
人間の果てしない欲望を描いた本。人間は満足を知らない動物だ。満足しても、また次の土地を求め始める。欲望には、きりがなく、そして自分の人生を破滅においこむ。 トルストイの人間についての考えが詰まった本。2016/06/21
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