出版社内容情報
10歳のマーベンは、生きのびるために北の大森林へ向かった。木材の伐採現場で会計係を務め、成長する少年の姿を描いた美しい絵本。 小学校中学年~中学生
内容説明
10歳の少年マーベンは、ひとりで北の果ての大森林へ向かった。生きのびるために…。木材の伐採現場で会計係として認められ、成長していく少年の姿と、そこで育まれる男同士の静かな友情を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
49
1918年のアメリカの町で悪性インフルエンザが大流行。ロシアからアメリカへとやってきたユダヤ人の両親は、5人の子どもの唯一の男の子マーベンの命を守りたいと、カナダとの国境近くの大森林の伐採場へと送り出します。10歳の男の子がたった1人で・・・どんなに心細かったでしょう。大きな男の人たちの中での毎日。読んでいても心配になったのですが、そこで大男のジャン・ルイと仲良くなったのが嬉しい。しかし10歳の男の子が給料計算?しかも知恵を働かせています。ご両親の育て方、愛情を感じる場面でした。2021/02/21
アナクマ
41
1918年ミネソタ。10才の少年がインフル禍を避けるため森の伐採場で過ごす4ヶ月。◉列車で5時間、さらに雪原をひとりスキーで歩く8kmの心細さ。落ち着いた先では木材の伝票整理に居場所を見出し、フランス語のきこり達と友情を育む。斧投げ競争までするんだぜ(大人のマトは20m先!)。◉著者の父親の実話(帝政ロシアからアメリカへ渡ったユダヤ人)。伐採現場の描写が無くて残念だが、子どもだから仕方ない(かわりに食事内容は詳しい)。白い雪原と黒い森影、小さな子供と大きな大人たちのコントラストが印象的。2020/04/10
たまきら
33
コロナ禍のいま、読んでいてとても不思議な気持ちになる一冊でした。学校が休みになったとき、自分たちはほぼ1か月、昼間は隔離された森の中で過ごしていました。ほぼ100年前に同じようなことがあったーそれだけでも娘にとっては重要な知識になったと思います。…マイのこぎりを持っている娘ですが、この本を読み終わったらまたおのをおねだりされそう。怖い怖い。2020/12/08
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
22
『絵本の新世界』 https://bookmeter.com/books/1922993 のブックリスト100選で紹介されていた絵本。1918年、10歳の少年マーベンの住む町にはインフルエンザが流行り、命を守るため、父の友人であるムレーさんの伐採現場に一人向かう。一人ぼっちで汽車に乗り、着いた駅からスノーシューでムレーさんの待つ現場まで行くなんて心細く涙も出て当たり前です。フランス語を体験し知り、帳簿係として立派に仕事をこなし、大男のジャン・ルイと友だちになりまが…。<守りたいものに気づく>2020/12/17
ヒラP@ehon.gohon
20
悪性インフルエンザを避けるために、10歳少年のマーベンは家族と離れて木こりたちの生活する雪の大森林での生活に旅立ちます。 家族と離れて知らない土地に旅立つ不安感が物語の前半で、私を包み込みました。 そして、見知らぬ土地での男の社会での生活には、マーベン自身の労働も含まれていました。 知り合ったジャン・ルイとの生活で、心の通い合いがどんどん深まり、で成長していくマーベンの姿は、生き生きとしてきらめいて感じられます。 1冊の絵本の中に少年の成長が見事に描かれていました。2016/01/25