出版社内容情報
英国のファンタジーの名手による、透明感あふれる最新短編集。子ども時代の微妙な心の動きを、さわやかに描いた珠玉の8編。 中学生~一般
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
265
著者の『幽霊を見た10の話』の姉妹編に位置づけられる1冊。Super Natural(超自然)的な要素を多分に含んだ物語8編から編まれている。『幽霊を見た―― 』との違いは幽霊だけを主に取り上げるのではなく、不気味な人間・現象等も含まれ、ブラックユーモアの要素も十分に取り入れている。ただ各作品の雰囲気は同様に控えめな描写に主人公の心象に主を置いている。それぞれの作品の原題は"The Rope(縄跳びをするロープのことだが、首吊りのロープという意味を含んでいる)""Nutmeg(物語では犬の名前である)”。2019/05/23
帽子を編みます
71
表紙は「まつぼっくり」の場面ですが、シュールレアリスムの絵の印象です。後ろに見えるガラスの温室は…。子ども時代をこれほどに描写できるのはすごいと思いました。楽しいことも悲しいことも忘れたわけではなくて、薄くぼんやりしてしまったものが、これら8つの物語でくっきり思い出します。切ない話が多いけど、この子たちは前を向いて成長して、切ない思いをしている子どもの支えとなってくれそうです。「チェンバレン夫人の里帰り」あの嫌な父の描写、隣人の嫌な感じ、思いがけない出来事、これは奇妙な味にふさわしいと思います。2021/05/01
はる
56
好みです。ピアス晩年の作品が中心ということだけれど、この瑞々しさはどうだろう。子どもたちの揺れる心情を繊細な筆致で描いた短編集。まるで自分の記憶のような痛み。そして、しばしば描かれる老人の、年老いた悲哀との対比も見事です。2020/09/21
ぶんこ
41
他の方々の感想が素晴らしいのに、私は大人(特に男性)の怒りっぽさが衝撃すぎて、他の点に目が行きませんでした。子どもや母親がかわいそうに思ってしまったのです。他にどんな感想があったかなと思い返しても、残念ながら読後感の良い作品は思い出せません。2020/10/13
ちえ
37
『トムは真夜中の庭で』を読み、続けて本棚より。10年ほど前にたまたま古書で購入し大切な本に。ピアスの短編。「ロープ」に(あぁ私もこんな気持ちの時があった…)と思い出し「ナツメグ」はかなり怖いけどコプリーさんには同情しかない。「夏の庭」の僕の気持ちが届くと良い。「スポット」は笑っちゃうし「チェンバレン夫人の…」はちょっとホラー。一番好きなのは「巣守りたまご」。「まつぼっくり」を読むと切なくて泣きたくなってしまう。言葉が足りないけど、ともかくどれもとても良い。オススメ。2019/01/07
-
- 洋書
- CAT POWER
-
- 和書
- 日本の地方自治 岩波新書