内容説明
冬の日の駱駝隊、大道芸人の女の子、弟の乳母、草むらに潜んでいた泥棒、菓子の行商人…1920年代の北京の下町・胡同に暮らす人びととの出合いと別れの悲喜こもごもを少女の目をとおして描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ワッピー
27
書店の平棚で目配せしてきた本。1920年代、客家系の父親、台湾出身の閩南人の母親の間に生まれて、台湾から北京にきた少女が見た胡同での暮らし。幼年時代の友だちとの交流、近くの恵安館に住む狂女・秀貞の哀しい事情、学校生活、盗品を隠す泥棒、歓迎されざる食客の追い出し作戦、幼いころから親しんできた子守の宋媽との別れなど、季節の流れの中で北京の古い街並みと生活感を楽しみました。時節柄、日本軍の与えた傷跡にはいたたまれなさを感じます。最終行の「お父さんの花が散った。私はもう子供ではない」のインパクトにはやられました。2025/08/03
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