感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナハチガル
19
読めば納得できるようなことばかり書かれているのだけれど、ではそのとおりにすれば名文が書けるようになるのかといえばもちろんそんな訳はなくて、不断の努力と生まれ持っての才能が必要なわけだが、もしかすると自分も何か書けるようになるかもしれないと読者に思わせるようにこの本は書かれていて、かつ、特筆すべきなのは、筆者自身が、努力と日々の心がけ次第で誰でも名文を書けるようになれると信じている節があることだ。その感覚のズレこそが、天才と凡人の違いなわけだが。生き方を見直すきっかけとなる、自己啓発本のようでもある。A。2023/10/25
ATS
13
★★★名文を書かない文章講座であるが、内容は名文(箴言)だらけといってよいと思う。私もときどき小説を書くが、非常に参考になる。また読み返したい。『文章なんて恐れる必要はないということである。どう書いても、紙に字で何ごとかを記せば文章になる。そしてその中に、その人だけの考えや発見が一行でもあれば、それが文章の価値というものになること。いい文章のからくりは、たったそれだけに尽きる。』(P25)2018/05/04
OHモリ
9
・朝日新聞連載「村田喜代子の文章口座」の単行本化。テクニックよりも個性的な視点や発想が大切だということと、素晴らしい子供の作文がいくつか紹介されていたのが面白かった。・全ての作家がそうなのかは分からないが、少なくとも村田さんは1日24時間文章を書くことを意識しながら生活していることが分かって凄いなと思った。夫婦喧嘩も観察・文章化の好機だと考えて客観視する下りは笑えてしまった。詳細は→https://plaza.rakuten.co.jp/drunk4374books/diary/202007040000/2020/07/04
kuukazoo
8
踊りとも共通することだけど、きっと自己顕示欲で書こうとしてるうちはろくな文章が書けないんだろう。わたしはこういう文章講座本を読むのが好きなのだが、それはいろんな『名文』が例文として使われていて楽しく、読書の幅を広げるきっかけになるから。赤瀬川原平(尾辻克彦)はやはり面白いし柳田國男の『山の人生』の序文は胸にずーんときたし児童文学者となる前の椋鳩十の作品に驚いた。2015/04/22
スウ
7
芥川賞作家、村田喜代子の文章指南の本。こういう本はいくつか読んでいるけど作家が書いたものは読みものとしてもしっかり面白いと再認識。“書く前にいつも周囲を見て思考する日常の生活習慣がいる。文章化とは、その思考の圧縮作業”など、ノウハウはもちろん心の持ちようや鍛錬が大事と教わった。見本として引用された文章がまた面白く、特に前衛画家、菊畑茂久馬の「癌来たる」は自分を「子猿」とする一人称が壮絶な看取り記としてインパクトが強過ぎ。最後のほうにあるので本書の印象を一気に持っていかれた感じ。 2022/10/30