出版社内容情報
29年大恐慌がアジア諸国の社会構造に与えた深刻な影響から説きおこし、インドシナ、フィリピン、インドネシア、タイ、マレー、ビルマ各国の30年代以降の民族主義運動と共産主義運動の歴史的条件と相互の関連を、はじめて横断的に捉えた野心作。アジア関係者必携の書。
内容説明
大恐慌が植民地型経済を痛打し、息をひそめていた民族主義・共産主義を目覚めさせた。戦乱・独立へとなだれ込む東南アジア激動の通史。
目次
1 世界恐慌と東南アジア経済
2 大恐慌までの東南アジア政治情勢
3 世界恐慌下の政治的激動
4 大戦前夜の東南アジア
5 第二次大戦中の東南アジア
6 アジアにおける「戦後動乱」の幕開き
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
58
1999年発行だが著作自体は1972年と50年以上前。いくらか統計に基づいた記述もあるが、ほぼ政治史で、植民地支配国や戦争で進出した日本と、それに対抗する民族主義者や共産主義者の動きを地域ごと・時代ごとに細分しながらサクサクと書いている。コミンテルンの指令とか「トロツキスト」なんて言葉まで登場し、すごく時代を感じた。リードの著作のような東南アジア社会をトータルかつグローバルに位置づける視点は殆ど感じられないが、地域相互の関係には目配せはある。地名や人名表記も古いが、基礎知識の整理には役立った。続編あり。2024/08/29