出版社内容情報
『紅衛兵の時代』(岩波新書)、『回教から見た中国』(中公新書)で日本にも多くの読者をもつ現代中国随一の作家が、黄土地帯の苛烈な自然の中で、清朝以来たび重なる弾圧にもかかわらず生きつづけ発展した下層民衆の宗教=ジャフリーヤ派を熱く描いた渾身の力作。
内容説明
18世紀以来、国家体制と妥協せず苦難の中で殉教を続けた人びとの連綿と続く歴史を熱く語る。貧民の宗教を通じ中国を描く。
目次
第1章 中国黄土高原
第2章 殉教精神への道程
第3章 禁圧される教派ジャフリーヤ
第4章 大反乱の時代
第5章 復活と発展
終章 ジャフリーヤの広がり
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
崩紫サロメ
18
中国イスラム全体ではなく、著者が信仰するジャフリーヤ派を扱ったもの。乾隆年間に馬明心によって成立したスーフィー教団で、清朝を通して大弾圧を受ける。本書は馬明心以来のムルシド(指導者)の生涯と信仰を物語的に描いたもので、印象としてはキリスト教の聖人伝と少し似ている。ジャフリーヤ派は数千万いる中国ムスリムの中でわずか60万人くらいで、こうした本が日本語で読めるのはありがたい。著者は小説家であり、かつては「紅衛兵」の名付け親として活動したこともある。中国の多様性を改めて感じた。2020/08/26
teruyoshi50000
1
スーフィーが中国史でどのような役割を果たしたかということが詳細に書いてある。2011/06/19