出版社内容情報
──母の包丁の音、いまも心にこだまする言葉。
〈 すべての記憶が、わたしを支えている〉
韓国文学のトップランナーによる、切なくて、痛くて、おかしな8つの物語。
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自分をいつも守ってくれた豪快な母。
何もかもがうまくいかなかった、クリスマスの夜の苦さ。
就職難の中で手に入れたささやかな「城」 への闖入者。
死んでしまった母親との、本当の別れ。
大人になろうとする主人公たちの大切な記憶を鮮やかに紡ぐ、作家の自伝的要素も散りばめられた瑞々しい短編小説集。
内容説明
自分をいつも守ってくれた豪快な母。何もかもがうまくいかなかった、クリスマスの夜の苦さ。就職難の中で手に入れたささやかな「城」への闖入者。死んでしまった母親との、本当の別れ。大人になろうとする主人公たちの大切な記憶を鮮やかに紡ぐ、作家の自伝的要素もちりばめられた瑞々しい短編小説集。
著者等紹介
キムエラン[キムエラン]
韓国・仁川生まれ韓国芸術総合学校演劇院劇作科卒業。2002年に短編「ノックしない家」で第1回大山大学文学賞を受賞して作家デビューを果たす。2013年、「沈黙の未来」が李箱文学賞を受賞
古川綾子[フルカワアヤコ]
神田外語大学韓国語学科卒業。延世大学教育大学院韓国語教育科修了。神田外語大学講師。NHKラジオステップアップハングル講座2021年7‐9月期「K文学の散歩道」講師を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
17
「包丁の跡」著者の両親がカルククス屋をやっていたというから、まさにザ・自伝。カルククス屋をやっていたといっても、実際に切り盛りしていたのは、しっかり者のオンマ(お母さん)で、父親は母親からもらった結婚指輪を飲み代のかたに取られてしまったり、女つくったり、ザ・ダメ男。第三者から見れば「面白いおじさん」なんだろうが、家族として一生背負うとなると大変だ。本編はそんな父より、頑張りぬいた母にスポットを当てる。2024/01/21
しい☆
5
短編が8つ。はじめて読む作家さん。とても良かった。わたしが今まで出会ったことの無い比喩や表現が出てきて秀逸。パラサイトやマイディアミスタ-を見ていたおかげで住宅事情(とても大事)にもついていけた気がする。子午線を通過する時 と 四角い場所 が好き。 皮を剥かれている青リンゴの表紙も素敵。 場所に記憶が残る感覚を久しぶりに思い出した。窓から通学路を眺めると今でもランドセル背負った子が帰ってくる気がするし、あの道を通るとずいぶん前に亡くなったおじいちゃんがまだ散歩してる気がする。そういう場所が私にも沢山ある。2024/01/10
石
4
大げさなエピソードなど無くても、確かな技量があれば優れた小説を書けるのだという見本のような小説 さりげない台詞や比喩表現が心に残る 特に「四角い場所」がいい 224ページのとある一言が、先輩に憧れる少女の儚い気持ちを見事に表現している2023/12/26
フランソワーズ
3
『包丁の跡』が珠玉。冒頭の一節でやられてしまいます。2024/01/03
nightowl
2
貧しさと就職難による人生のほろ苦さ。妙なルームメイトの半生と疲れているのについ勝負事では燃えてしまう悲しい塾講師の体育祭について「唾がたまる」駄目男の兄、彼氏と宿泊可能なホテルを探す妹をカットバックで描く「クリスマス特選」。姉妹の微妙に気まずいやり取りと妹の挫折理由「祈り」。つましく暮らす小市民たちの姿が時折オフビートな熱狂混じりに綴られる。上記三作はその辺りのバランスが特に好み。祖父孫もののある物体で孤独を紛らせようとする子供「フライデータレコーダ」がかなり浮いている。2024/04/30