内容説明
社会から軽んじられてきた主婦たち、いつのまにか生じた溝にゆれるLGBTカップル、社内での性暴力を告発した女性…。すこしの誤解やすれ違いから愛する人や大切な仲間を一瞬にして失う痛み…私たちは、なぜ分かりあえなかったんだろう?やり場のない怒りや悲しみにひとすじの温かな眼差しを向け、“共にあること”を模索した十一の物語。
著者等紹介
ユンイヒョン[ユンイヒョン]
1976年、ソウル生まれ。延世大学英文科卒業。2005年に短編「黒いプルガサリ」で中央新人文学賞を受賞し、デビュー。2014年、2015年に若い作家賞、2019年に李箱文学賞を受賞するなど、大きな注目を集めている
古川綾子[フルカワアヤコ]
神田外語大学韓国語学科卒業。延世大学教育大学院韓国語教育科修了。第10回韓国文学翻訳院新人賞受賞。翻訳家。神田外語大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Roko
31
韓国という隣国のことに関して、わたしは何も知らずにいるんだなぁ。夫婦や友人との会話は、日本の人たちとほとんど変わりがありません。会社で受けるセクハラもパワハラも、夫との意見の相違も、人の名前が出てこなかったら気が付かないくらい同じ感じなのです。同性カップルの悩みとか、トランスジェンダーの家族への思いとか、それに対する周りの無理解とか、韓国も日本も同じなんだなぁって思うことばかりです。2021/09/29
ケイティ
23
短編集。あまり得意でないファンタジーやSFもありましたが、概ね前半の中でも「スンヘとミオ」が印象的。訳者の古川さんのコメントで「ありのままの過去を差し出すことで、次の世代がより良い世界で生きられるよう声援を送っている」とあり、著者には自分の心や痛みをやり過ごさず異なるものとの対話を続ける信念を感じました。楽しめるかというと微妙ですが、このモヤモヤ含めて「となりの国のものがたり」シリーズは読んでいきたい。2021/07/07
かもめ通信
22
お気に入りは「スンヘとミオ」「ピクルス」「四十三」。読んでいてしんどくないと言ったら嘘になる。でもこれ本当に読んで良かった。作家が言うように“共にあることを夢見る人たちは、私たちが最後ではないはずだから。”2021/06/21
星落秋風五丈原
20
表題作で結局彼女は何に悩んだんだろうな?というのがちょっとわからなかった。あとSFテイストの短編があまりのれなかった。竜の連作は良かった。2021/05/26
アヴォカド
13
『ダニー』で興味を持った作家。『ダニー』が思っていたより短かったので、ほかにどんなものを書いてるんだろう?と。『スンへとミオ』『四十三』○2021/05/13