内容説明
人類が抱いてきた古い昔の物語、再生と慰め。「アーサー王物語」、「エッダとサガ」、ケルト妖精譚、モリス、チェスタトン…ファンタジーの古層を求めて。
目次
第8講 英国の児童文学1 グレアムとボストン
第9講 英国の児童文学2 ファージョンとトラヴァース
第10講 アーサー王物語とその周辺
第11講 エッダとサガ
第12講 アイルランドと妖精
第13講 ウィリアム・モリスの夢
第14講 チェスタトンの奇譚
著者等紹介
渡辺京二[ワタナベキョウジ]
1930年京都生まれ。大連一中、旧制第五高等学校文科を経て、法政大学社会学部卒業。評論家。河合文化教育研究所主任研究員。著書に『北一輝』(ちくま学芸文庫、毎日出版文化賞受賞)、『逝きし世の面影』(平凡社ライブラリー、和辻哲郎文化賞受賞)、『黒船前夜』(洋泉社、大佛次郎賞受賞)、『バテレンの世紀』(新潮社、読売文学賞受賞)など多数がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
92
渡辺さんのファンタジー(特に英国)授業の下巻です。ここでは「アーサー王物語」「エッダとサガ」、ケルトの要請がらみの話など私が今まであまり読んでは来なかった分野についての話が語られていて楽しめました。また最後にはG.K.チェスタートンについての話が語られています。「トレント最後の事件」や「ブラウン神父」シリーズでも有名ですが、渡辺さんがここでこの作家をとり上げてくれているとは思いませんでした。2023/12/08
アナーキー靴下
55
上巻の感想は語りの巧さの話に終始してしまったので、下巻では具体的な内容を、と思っていたのに、やっぱり無理。著者の読書との向き合い方に圧倒されてしまった。著者はこの講義にあたり、新たに多数の文献を読んだり調べたりしたとのこと。にも関わらず、語りに付け焼き刃的なところがなく、作品の読みと作品周りの知識が一体化しているのだ。いやそれ自体は誰が読んでもそうなる、自分の知識以上の読みなんて不可能だから。となると、知識の深さ広範さに圧倒された、と言いたいところだけど、それも正確ではない。2025/03/15
帽子を編みます
47
下巻も面白かったです。いやむしろ私の好みに気づかせてもらったような気がします。『メリー・ポピンズ』好きでした。『アーサー王物語』そして『トリスタンとイズー』、なぜこんなに惹かれるのでしょう。エッダとサガ、あの秩序なくつらつらつながっていく話、読み切れませんでした、私だけではないようです。アイルランド、直近でもケルト紋様のことを思っていました『ケルズの書』。そしてシング。ウィリアム・モリスの講もよかった。本は読むことはないでしょうがラファエル前派はドラマチック。チェスタートンもわからないけど癖になります。2025/04/21
南北
47
下巻はグレアム、ボストン、ファージョン、トラヴァース、アーサー王物語、エッダとサガ、アイルランドと妖精などが取り上げられています。アーサー王物語まではなんとかついて行きましたが、エッダとサガ以降は物語自体がだらだらと続いている感じでどうにも手に余るものでした。ケネス・グレアムやエリナー・ファージョン、アーサー王物語などは機会があれば読んでみたいと思いました。2019/11/25
ワッピー
35
下巻は黄金の英国児童文学の世紀とともに、その背景となる神話の土壌・アイルランドの妖精談、アーサー王伝説、さらにはウイリアム・モリスの社会運動を網羅、「ライラの冒険」(プルマン)も射程に入っているのみならず、各テーマの中で同時代人、あるいは後世のトールキンやルイスがそれからどのような影響を受けたかという関係性も言及。何と大きな視点でしょうか!北欧神話からサガの分野も文献をほぼカバーされていることにも驚愕。ファンタジー常用者にも、これから入門する方にも響く『偉大な』扉本となると感じます。とてもおススメなのだ。2025/03/05