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内容説明
戦後、日本人女性と米兵の間に生まれた子どもたち、経済成長の陰で地を這うように生きた「女たち」はその後どんな運命をたどったのか。敗戦直後から現在の横浜、北海道、そしてタイを舞台に、声なき者たちのブルースに耳を澄ませる。華やかな横浜の裏の歴史を描き出すノンフィクション、20年の時を経てついに完結!
目次
第1章 闇からの声
第2章 横浜・混血の系譜
第3章 接収の街と女たち
第4章 大和・葉山・札幌―混血児養護施設
第5章 高度経済成長が生み出した闇
第6章 横浜の「外国人」たち
第7章 いまだ渦中―沖縄
第8章 逐われた女たち
著者等紹介
山崎洋子[ヤマザキヨウコ]
1947年、京都府宮津市生まれ。コピーライター、児童読物作家、脚本家を経て小説家に。1986年『花園の迷宮』(講談社)で第32回江戸川乱歩賞を受賞。小説、エッセイ、ノンフィクション、舞台脚本、演出など多数。2010年、NHK地域放送文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
k5
66
最近まで二年ほど横浜に住んでいたのですが、離れることになったので。開港時に急ピッチで作られた遊廓から、混血児たちの運命、華僑など、硬質で視野の広い、とても読みでのあるノンフィクションです。まさに街の「光と闇」を描いた感じなので、タイトルはあまりそぐわない気がしました。ステレオタイプには「裏面史」そのものなんですが、それを裏面にしちゃダメでしょう、というのが趣旨だと思います。女性のエピソードの方が質量ともに充実しているため、「女たちの」の方は納得ですが、カシアス内藤はじめ、男性のエピソードも優れています。2021/09/16
わんつーろっく
17
幕末の開港から160年の歴史の中で、横浜の「女たち」はいかに男たちの欲望を受け止めてきたのか。震災・空襲と二度も焼け野原になった横浜が逞しく甦った陰で、知られざる歴史の光と闇が、数多くの証言から浮き彫りになる。横浜に住んで30年、どこもかしこも観光客向けの顔をしてきたなぁと感じる市民として、心にとめておきたい歴史だ。奥村泰宏さん常盤とよ子さんの写真集も観てほしい。感じてほしい。2019/06/25
uniemo
12
横浜に関する話で元々積読していつか読もうと思っていたのですが、丁度戦後の米軍慰安施設に関わる女性の小説を読んだので、この本も思い出しました。米兵との間で生まれたと思われる沢山のハーフの子達の苦労と活躍は小説の続きを読んでいるかのようでした。インタビューされてる方の人生ももっと知りたいと思う人が多かった。ただ最後のまとめはテーマが広がり過ぎなのか、折角小説家の方が書いているのに心に響くという感じではありませんでした。2019/09/11
hitotak
9
幕末の横浜港開港から戦後の混乱期へ経て現在に至る、色街としての横浜の歴史を辿る。戦後に多く生まれたGIベビーたちを育てた養護施設の話、多くの子供たちが埋葬された墓地を隠そうとする横浜市への憤り、有名無名のハーフたちへのインタビュー、現在も浄化作戦がすすむ大歓楽街だった黄金町の今の様子など内容が盛り沢山で、テーマがぼやけてしまい、まとめきれなかったような印象を受ける。ひとつひとつのエピソードは充分面白いだけに残念。2019/11/18
wakazukuri
7
戦後横浜の光と闇、そこで生きる女たちの生活。とりわけ混血児のこと。今でこそハーフともてはやされるが、幕末の悲惨な状況。男たちの欲望を受け止めてきた女たちの行く末。華やかでおしゃれな活気ある横浜ではなく、その暗い部分を知った。やりきれなさを感じた。2019/11/24