内容説明
このスケッチ集は、北海道の函館にあるトラピスチヌ修道院の生活を描いた絵と文章を一冊にまとめたものです。トラピスチヌ修道院はいまから120年近く前、1898年(明治31)にフランスからやってきた8人の修道女によって設立された日本で初めての女子観想修道院です。スケッチが描かれたのは1960年代から1970年代にかけて。「禁域」と呼ばれる囲いの中で、朝は日の出前の午前3時に起床し、神に祈りを捧げ、田畑に出て汗を流す―修道女たちはそうした「祈り、働け」の生活を実践していました。ふだんなかなかうかがい知ることのできない修道生活の様子を、修道女が自ら描いたのが本書に収められたスケッチの数々です。豊かで、温かく、そして明るい空気にあふれた修道院の生活をぜひご覧ください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
チェアー
14
神に祈り、神の言葉を信じる人々のつつましやかで豊かな生きざま。その思いを伝える絵が素朴で強くて素晴らしい。日々の労働が神を信じることにつながり、それは人を信じることでもある。打算でなく、ただ信じることの尊さを思う。2017/05/04
吟遊
12
厳格なカトリックであるトラピスト、トラピスチヌ修道院のうち、函館のトラピスチヌで働いていた方の絵(水彩画かな)と添えられた文章。ぶ厚い絵本のようだ。60年代の挿絵はいまと変わらない風景なのだろうか。バター飴の製法も丁寧に書かれていた。2016/10/13
月音
0
細いペンの輪郭線に色鉛筆で彩色された、素朴でやわらかな絵。描かれているのは北海道の澄んだ空、青い山並み、広々とした緑の大地と、そこで祈り、働く修道女たち。ページをめくるごとに描かれた風景そのままに心が澄み、安らいでゆく。本書は生涯を禁域と呼ばれる区域内ですごす修道女たちの日々のスケッチ集であり、1960~70年代に彼女たちの一人によって描かれた。田植え、麦刈り、家畜の世話、バター飴作り、聖務日課…。心から愛し、信じるものがあり、自分のやるべきことを喜びをもってする。その姿がまぶしく、羨ましい。2023/02/20