内容説明
10年代のクラフトシーンがぎゅっと凝縮された物語―吹きガラス職住一致の小商い。
目次
左藤吹きガラス工房公式業務日報 選り抜き 前編
コップ
白子訪問記
左藤さんの来し方
売ること
リサイクルから、一生の仕事まで
新作
左藤吹きガラス工房公式業務日報 選り抜き 後編
著者等紹介
木村衣有子[キムラユウコ]
1975年栃木生まれ。文筆家。立命館大学産業社会学部卒。ミニコミ『のんべえ春秋』編集発行人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひろ
4
ガラス職人の人生と仕事と作ったものについて書かれた本。 こんだけ働いても市みたいなイベントでよく売れたときのご褒美がちょっと豪華な定食なのかよってところに、組織に属さずに自分のものを作ろうとするとこれだけの犠牲を払わなくちゃならないのかって気分になる。儲からないなあ……。とはいえ娘さんは大学進学も考えられる程度に稼ぎはあったようだ。なんて、この左藤さんのガラスが欲しいとかよりも現実的な感想がでてしまうあたりに、この本の良さもあるかもしれない。何気なく手にとってみたがなかなかおもしろかった。2015/08/25
kaoru
3
本書で取り上げられている左藤玲朗さんのガラス器が好きで、いくつか使っている。本書を読むと、好きな事を職業にすること、それで生計を立てていくことがいかに難しいかが良く分かる。美しいガラス器だが、高温で処理するため、とりわけ夏には厳しい作業が続く。それでも納得のいく作品をつくるために努力を続ける左藤さんの哲学や作品を売るための苦労話、それを支える家族やいくつかの店舗の人々の飾らない声が丁寧な取材で掘り起こされた好著。左藤さんを「教養人」と呼ぶ著者の視線が優しい。2017/08/17
Book shelf
1
ガラス作家・左藤玲朗氏を著者が取材し、その人柄、家族、ものづくりに対する考え方、作品への想いなどを まとめた1冊。そんな内容なので、技術的な説明はほとんど出てきません。 作品の写真も数点カラーで紹介されており、とてもシンプルな作風です。沖縄のガラス工房に勤めて、それから丹波で 工房を開き、その後千葉に移って今に至る左藤氏は、もともとガラス作家を目指して専門学校に通ったとか、そういう 経歴ではなく、立命館大学出身の、ガラスとは縁がないような経歴であるところが面白い。2016/04/17