出版社内容情報
『マルクスならこう考える』以降10年、〈帝国〉論さえ通じなくなった世界を独自のマルクス的視点から読み解く。資本主義経済の現状の動きを、その歴史に関連付け、そしてマルクスの資本主義分析という道具を使って解き明かす。
内容説明
マルクスが予見した世界が目の前にある!成長と利潤確保を義務付けられた資本主義は、どこにも「差」を生み出せなくなったときに動きを止める―『マルクスならこう考える』から10年、この間の決定的変化をマルクスに沿って捉え直す。
目次
序章 六〇階建ての幽霊ビル―危機の資本主義
第1章 まやかしとしての人権と民主主義―アラブの春から逆照射されるもの
第2章 資本主義の行き着く先―たとえば原料供出国マリ
第3章 「自由」とは「所有」のことである―フランス革命の功罪
第4章 過剰資本と過剰生産―世界再編の必要性
第5章 資本主義の宿痾―利潤率の傾向的低落
終章 「小さな社会」の構想
著者等紹介
的場昭弘[マトバアキヒロ]
1952年生まれ。神奈川大学経済学部定員外教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シュラフ
13
はたして古典であるマルクス『資本論』をもって現代の世界情勢を読み解けるのかという疑問があったが、すっきり分かりやすい論となっている。『資本論』を読んでなくても、資本というものは利潤追求に向けて暴走するということだけ分かっていれば大丈夫。読んでみれば、どうしてシリアやアフリカで暴動がおこるのか、米とロシア・中国の対立構造はどうしてなのか、ということが分かる。人間をたえず経済成長に追い立てて、それを放置しておけば人間を不幸にする資本主義というシステムに対して人間はそれを制御すべく英知を持たねばならないと思う。2015/06/13
なつきネコ
4
何気に西洋人は、大義名分を振りかざして、奪うのがうまい。「人権」や「民主主義」は「キリスト教化」とさほど変わらない。正にアラブの春や、テロの戦いは十字軍まんま。先人の慧眼は衆愚により、形骸化してしまう事か。確かに常に成長と競争を求める資本主義に堪えるほど地球の資源が問題になるのは当たり前だとおもう。たぶん、新たな社会は世界中から伸び代がなくなった後か、もしくは大戦争の後だろう。2015/05/15
hayataka
3
北アフリカ・中東問題は、欧米列強の人権・民主化の仮面を被った帝国主義である。これは資本の自然な運動であり、その限界が近づいていることを、アラブの春、リーマン、福島原発事故などの事象から解説。最終章では、マルクスとプルードンの思想を織り交ぜながら、資本主義の終焉とこれからの世界観を展開。マルクスの事を知らなくても、現代社会について十分考えさせられる一冊だ。2015/09/10
まこ魚
3
資本主義とは強いものが弱い者から収奪するというシステムである。そしてそれを永遠と繰り返さなければ維持できない。収奪は初めは力強く、心地よい言葉と共に始まる。「かの地に民主主義を、人権を!」しかし資源が乏しい国、資本主義のマーケットになりえない貧しすぎる国で、どれだけ人権侵害が起きようとも欧米列強はしらんぷり。また直接的に手を下さずに、内側から「革命」が起きたようにみせかけて、実は背後で欧米が手を引いていたということも・・・結局は金になるかどうか、利権があり国益にかなうかどうかというのが全てとは・・・2015/03/01
funuu
3
洪水は我は亡きあとに来たれ!これがあらゆる資本家と資本国家の合言葉である。だからこそ資本は社会によって強制されない限り、労働者の健康と寿命に配慮することはない。 欧米主義は、ロシア、イスラムを破ることが、できるのか?東西冷戦とは、別の戦が世界では進行しているようですね。日本は、東西冷戦の時のように、比較的幸福な状況にあるようですね。2014/10/26
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