出版社内容情報
マルクス・アウレーリウス、カール・マルクス、マルクス兄弟。映画史家である著者の人生に多大な影響を与えた三人の「マルクス」の魅力を紹介!
内容説明
ローマ皇帝、革命家、ハリウッドの喜劇役者。運命の悪戯か、同じ名のもとに時空を超えて生まれ世界を三通りに解釈してみせたマルクスたち。
目次
マルクス・アウレーリウス(祭壇の粒;…を与えられ;宇宙の秩序 ほか)
カール・マルクス(バゲット;エピクロスの傾斜;罵倒の文法 ほか)
マルクス兄弟(“3”とは何か;出自とペルソナ;移民の企み ほか)
マルクスの三つの顔
著者等紹介
四方田犬彦[ヨモタイヌヒコ]
1953年、大阪府に生まれる。東京大学で宗教学を、同大学院で比較文学を学ぶ。建国大学校客員教授としてソウルに赴いて以来、コロンビア大学、ボローニャ大学、テルアヴィヴ大学、明治学院大学などで、映画史と日本文化の教鞭を執る。映画と文学を中心に、幅広い文化現象について批評の健筆をふるう。齋藤緑雨文学賞、サントリー学芸賞、伊藤整文学賞、講談社エッセイ賞、日本エッセイスト・クラブ賞、桑原武夫学芸賞などを受けた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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gorgeanalogue
3
著者は後記で本書を「読者を当惑させる性格のもの」と書いているが、彼の著作のうちの10冊程度しか読んでいない私にとって、その中ではという限定がつくし、その私にとって一番いいのは『摩滅の賦』だが、本書は「かなりいい」部類に感じられた。一番面白いのは、カールの後半から、「ファンタスマゴリア」の魅惑と商品のフェティシズムを結びつけ、妖怪の事後性に言及しつつ、カールの住んでいたピカデリーに出入りしていたメリエスから兄弟に話が移るところあたりで、晩年のデリダがハーポに似ているというギャグには声を出して笑ってしまった。2019/05/05
JunTHR
1
「アウレーリウス」と「カール」そして「マルクス兄弟」。それにしたって「マルクス」って名前だけでまとめるとはなんたるアクロバットかと当然思っていた。しかしむしろ、終章の「マルクスの三つの顔」という、三つのマルクスの顔を交差させ、横断し、まぜこせに語る断片集こそが、一番面白かった。そして、「後記」。「この書物が理論にも情報にも還元できない、パフォーマティブな書きものという性格を強く持っている」という一文で、強く、強く納得。構造・制度化され、管理・統御され、知が抑圧されている現状に対抗しているのだと。なるほど。2014/05/25
rinrin
0
【BOOK(2013)-184】!!!!!!!!2013/08/06
μέλισσα
0
私にとってのこの本はキルケゴールにとってのシェリングのようだった。 私がこのタイトルを初めて見た時、私が予感したのはまるで、3人(正確には三つ目にされるマルクス兄弟は一人ではないが)ではなく、三位一体のようにマルクスという名の3つの相が現れる、ポストモダンの脱領土化のようなものであった。 結論を言えば、この本は優れた評論家による3人のマルクスについての論であり、各章は優れているだろうが、まるで雀蜂と蘭のように見分けがつかなくなるものではない(途中から流し読みになってしまったため間違いなら申し訳ない)。2024/11/22