出版社内容情報
本書では、まんが、映画、小説、舞台などを題材にしながら、2000年代の日本の「痛み」を照射する。リストカット、モディフィケーション、セックスワーカー、社会の際(きわ)や行為の極限から見えてくる、この社会のかたち。
内容説明
リストカットの痛みから辛うじて感じる自分の実在、同じように体をモディフィケーションさせることによって確かめる自我の境界、ヒーラーとしかいいようがないセックスワーカーの在り方。美容整形、障害者の性、ホームレスとひきこもり…社会の際や行為の極限から見えてくる、この社会のかたち。マンガ、映画、小説、舞台などを題材にしながら、2000年代の日本を照射する。
目次
1 表面の傷・「痛み」の力―コミックの中の自傷
2(徴のある顔;他者になりかわりたい;婚外の恋;恋と日常;社長になるか、社長夫人になるか;風俗という「お仕事」;セックスワーカーはヒーラーでもある;せまいせまい私の場所;一瞬だけの永遠)
著者等紹介
藤本由香里[フジモトユカリ]
1959年生まれ。明治大学国際日本学部准教授。評論家。東京大学教養学科卒業後、筑摩書房に入社。様々な話題作を手掛けるとともに、少女マンガを素材とした評論やジェンダー論、エッセイなど多彩な文章をメディアに発表。2007年末に退社し、08年4月から現職。手塚治虫文化賞・メディア芸術祭マンガ部門・講談社漫画賞などの選考委員を歴任。日本マンガ学会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
みぃ
5
★★★★★ きわきわのところにいる人たちの事が書かれています。紹介されているまんが、映画、小説、舞台などにも興味がわきました。普通に生きている人の方が少ないのではないかと思ってしまいます。。2014/01/31
くさてる
4
取りあげられている内容はどれも興味深く、まさに「痛い」。なのでもっと掘り下げた物が読みたくなってしまう。もう少し、もっと深いところまで。その「痛み」がもたらすものとそれを必要としている存在の意味を知りたい。しかし、ここで語られている言葉すべてに単純に共感出来るわけではない。そんな乱暴な共感など嘘だと思うほど、人間の個にとって重要な問題がここには挙げられているから。その実感は私にとっても「痛い」。ただ、みなにその「痛み」の存在に気づかせたのが、ここで紹介されているいくつかの作品なのだと思った。2013/07/17
なめこ
2
全体的に論の運びや用語の使用が雑だった(男性とセックスするレズビアンの女性をバイセクシュアルというなど)。著者の少女漫画論に関する講義を以前受講したことがあり、そのときはとても興味深く聞いていたけれど、この本は印象批評の域を出ないのではないかとおもった。扱っている作品には気になるものが多かったので、個別にあたってみたい。収穫はそれだけだった。2016/04/09
ひろまつ
2
「社会」の「きわ」にいる人達、世界の話。普段見ることがない、セックスワーカーなどの話が、著者お得意の様々な文献(漫画等)を交えての解説だったのがよかった。最後に収録された都条例の著者インタビューを、今になって読むと色々と思う所がある。2016/01/04
sakichi
2
マンガや小説、映画を紹介しながらの文章が続く。読みたい本がいくつかあったので探してみよう。2013/11/04