災害ユートピア―なぜそのとき特別な共同体が立ち上るのか

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  • サイズ B6判/ページ数 448p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784750510231
  • NDC分類 369.3
  • Cコード C0036

内容説明

不幸のどん底にありながら、人は困っている人に手を差し伸べる。人々は喜々として自分のやれることに精を出す。見ず知らずの人間に食事や寝場所を与える。知らぬ間に話し合いのフォーラムができる…。なぜその“楽園”が日常に生かされることはないのか?大爆発、大地震、大洪水、巨大なテロ―いつもそこにはユートピアが出現した。『ニューヨークタイムス』2009年度の注目すべき本に選出。

目次

第1章 ミレニアムの友情:サンフランシスコ地震(ミズパカフェ;ポーリン・ジェイコブソンの喜び ほか)
第2章 ハリファックスからハリウッドへ―大論争(二人のプリンスの物語―ハリファックスの大爆発とその後;ロンドン大空襲から ほか)
第3章 カーニバルと革命―メキシコシティ大地震(下からのパワー;天命を失って ほか)
第4章 変貌した都市:悲嘆と栄光のニューヨーク(広場での助け合い;援助の必要性 ほか)
第5章 ニューオリンズ―コモングラウンドと殺人者(それはどんな違いを生むだろうか?;殺人 ほか)

著者等紹介

ソルニット,レベッカ[ソルニット,レベッカ][Solnit,Rebecca]
ノンフィクション作家。サンフランシスコ在住。代表作『River of Shadows : Eadweard Muybridge and the Technological Wild West』で全米批評家協会賞ならびにマーク・リントン歴史賞を受賞

高月園子[タカツキソノコ]
東京女子大学文理学部史学科卒業。在英25年(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

31
1906年サンフランシスコ大地震、1917年ハリファックスの大爆発事故、1985年メキシコシティ大地震、2001年アメリカ同時多発テロ事件、2005年ニューオリンズを襲ったハリケーンカトリーナ。これらの災害のあとになぜ相互を超えた助け合いと利他主義のパラダイスが出現するのかを検証する。なぜそれが普段は他の世界の秩序に押しつぶされてしまっているのか、ある種病んでいるのは社会システムのほうで、災害のもたらした危機が部分的な治療をうながしているともいえる。社会構造の崩壊後に見える可能性が口を開ける。チェルノブイ2013/09/15

松本直哉

28
エリートパニックという言葉を初めて知る。9.11のブッシュの狼狽や3.11の菅直人の激昂を思い出せば、大災害でパニックになるのは支配者層だけだという筆者の主張は説得的。彼らが朝鮮人を悪者扱いしたり放射能データを隠蔽したりするのもその不安から出ている。災害の只中にいる当事者は、むしろ反対に冷静沈着で利他的で、互いに喜んで与え与えられる関係は「地獄の中の楽園」(原著のタイトル)。それは現首相のいう自助とも違うだろう。お仕着せではなく自発的な相互扶助は、もはや上からの支配を必要としない最良の意味のアナキズムだ。2021/03/12

テツ

18
火事場泥棒のような例外はあるけれど、災害などで追い詰められた人たちは基本的にみんながお互いに助け合おうとする。そうした相互で助け合い支え合う非常時に生まれるユートピア的な思想をなんでもない日々の暮らしの中にも取り入れていけたらいいねというお話。人助けってほとんどの場合きもちが良いことなので、そうしたことに気づいて前向きな快楽の摂取を心がけるように生きていけたのなら、与える方も与えられる方も人生が少しだけ満ち足りるのかもしれない。2021/01/23

アヴォカド

16
災害時に人々が利他的になって助け合う ”災害ユートピア” が出現する、そしてそれはなぜ日常には現れないのか、ということだが。話半分だなあ、というのが正直なところ。パニックとか犯罪とか噂されるほど酷いことばかりではなく、むしろ自然発生的自律的に整然と助け合いがあった、というのはそういう面もあっただろうとは思うし、救いにもなる。でも、災害時に、日常より更に利己的になる人たちもいましたよね。見ましたよね。”PTSD"ばかりではなく、”心的外傷後成長”という概念もある、というのはちょっと面白かった。2018/10/04

白義

16
大いなる希望と未来への意志に満ちた、必読書です。災害に際して現れる一時の奇跡、災害ユートピア。それを印象的なエピソードから社会学、哲学まで使いその可能性と意義を縦横無尽に論じ、普通の人間の被災者観を痛快に砕いてくれます。人は大災害に直面しても獣にはならない。自発的に協力しあうことを意志し、善意の空間を生むことが出来る!ホッブズ的な人間観からクロポトキン的な人間観への変化と、思想的インパクトも大きいですが、思想とか抜きにこれはぼくたちが未来への希望にどう踏み出すのかを教える勇気の書と言っていいでしょう2011/07/28

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