内容説明
環境にやさしい政策は、その国の経済をも潤す。CO2排出ゼロの電力輸出国をめざすフランス、新エネルギーへの投資で23万人の雇用を創出したドイツ、2020年までに全家庭の電力を風力発電からの供給に切り換えるイギリス…「炭素収支」「エネルギー収支」「経済収支」を重視し、新しい産業・雇用を生み出しつつあるEU。対する日本の環境・エネルギー政策はどうか。環境経済学の視点から、日本の無為・無策ぶりを明らかにする。
目次
序章 破綻している日本の環境政策
第1章 いまなぜ環境・エネルギー政策が重要か
第2章 エネルギーの経済学
第3章 二酸化炭素削減の方向性をさぐる
第4章 主要国の環境・エネルギー政策
第5章 電源部門への投資を迫られる日本
著者等紹介
福島清彦[フクシマキヨヒコ]
1944年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。国際経済論専攻。野村総合研究所ワシントン事務所所長、同ヨーロッパ社長を歴任。主席エコノミストを経て立教大学教授。環境エネルギー政策を中心に「経済政策論」を講義している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆず
1
卒論を書くにあたり、まずは基本的な情報を入れよう、と手に取った一冊。EU、特に英独仏のスピーディーで抜本的な政策の方向転換はお見事。ああもう何で日本は…と愚痴りたくなってしまう。もどかしい。経済が専門とは思えない、筆者の環境分野での知識の豊富さは脱帽もの。2012/07/21
p31xxx
1
今のところざっと読み通しただけだが、『グリーン資本主義 グローバル「危機」克服の条件 (岩波新書)』のような新書に比べても、「経済から見る」と断りつつも幅広く政治・社会・科学の正統な流れをも汲んでおり、日本の経済構造を転換するためにより深く踏み込んで批判を行っている。危機感を募らせる筆者の言葉は強く印象に残る。「二十世紀とともにはじまった石油の時代は、石油を全部掘りつくしたときに終わるのではない。石油よりずっとよい、再利用可能エネルギーの開発と普及によって終わるのである。」など。(2章4節)2011/06/08