出版社内容情報
2023年の紛争を契機に、スーダンの文化遺産の意味と未来を考える本書。考古学・文化財学の視点から、紛争前の豊かな遺産と保護の試み、衝突後の専門家たちの奮闘、そして復興への展望を描く。「スーダンをスーダンから見る」ための視座を提示する、渾身の書。
【目次】
はじめに
第1章 なぜ「スーダン学」なのか
Ⅰ.出会いと始まり
Ⅱ.日本の考古学との関係
Ⅲ.「闇」の根源と認識
1.スーダン文化財/文化遺産とレイシズム
2.スーダン文化財/文化遺産とディアスポラ
3.「闇」の存在
第2章 スーダン通史
Ⅰ.二つの通史
Ⅱ.「博物館ガイド」の叙述
1.「博物館ガイド」の通史
2.「博物館ガイド」の特徴
Ⅲ.「ユネスコ本」の叙述
1.「ユネスコ本」の通史
2.「ユネスコ本」の特徴と「博物館ガイド」との比較
Ⅳ.通史を比較する意義
第3章 スーダン文化財/文化遺産の思想的背景
Ⅰ.展覧会にみるレイシズム
Ⅱ.ドキュメンタリー上のレイシズム
Ⅲ.スーダン文化財/文化遺産から見た革命といま
Ⅳ.スーダン学的文脈での主要用語の再定義
1.背景と手法
2.スーダン資料の日本国内展示
3.遺跡の調査研究からみた古代スーダン本来の姿
Ⅴ.用語の再定義
Ⅵ.歴史叙述軸の転換とその意義
第4章 スーダン文化財/文化遺産の保護活動
Ⅰ.プロテスト・スローガンにみるスーダン学の本質
Ⅱ.スーダン文化財/文化遺産に見るディアスポラ
1.ダム反対運動に見るディアスポラ
2.サウジアラビアによる「ダム建設資金援助協定」後の反対運動
3.国際クシュ・ヌビア会議に見るディアスポラ
Ⅲ.スーダン文化財/文化遺産保護活動のこれまでとこれから
第5章 スーダン文化財/文化遺産の調査研究
Ⅰ.古代スーダンの鉄研究
Ⅱ.20世紀の研究成果
1.はじめに
2.メロエ遺跡の概要
3.スーダンにおける冶金考古学の概要
4.製鉄関連遺構の調査研究
5.鉄器生産関連遺物の調査研究
6.鉄滓の理化学分析
7.鉄器の形式分類とその宗教的側面についての研究
8.鉄器の理化学的研究
9.メロエ採取試料とその評価
10.20世紀の研究成果の意義



