内容説明
子どもたちとの対話は、大いなる智慧の交流である。子どもは「いま、ここ」にある世界の輝きをとらえ、自然に動き、生きるために本当に大切なことを知る存在。その「象徴」である子どもたちが持つ力を、児童精神科医であり、子ども政策に携わる著者がやさしく解き明かす。かけがえのない子ども時代、育ちの土台、そして子どもの声を聴くことの真の意味に気づかせてくれる一冊。
目次
序章 「象徴」としての子どもへの敬意
第1章 なぜ子ども時代が大切なのか
第2章 子どものウェルビーイングをつくるもの
第3章 子どもの育ちとアタッチメント、神経発達特性、トラウマ
第4章 子どものこころの健康
第5章 子どもの力に注目する
第6章 子どもの声を聴く
第7章 子どもの権利に基づいたウェルビーイングの実現のために
著者等紹介
山口有紗[ヤマグチアリサ]
小児科専門医・子どものこころ専門医。高校中退後、大学入学資格検定に合格し、立命館大学国際関係学部を卒業。約30の国や地域を歴訪。山口大学医学部に編入し、医師免許を取得。東京大学医学部附属病院小児科、国立成育医療研究センターこころの診療部などを経て、現在は子どもの虐待防止センターに所属し、地域の児童相談所などで相談業務に従事している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きゅー
4
小児科専門医・子どものこころ専門医としての著者が心の底から子どもたちの幸せを願い、その環境を整え、困難な出来事に対処してきたのだと伝わってくる良書だった。大人の判断・考えによる「良いもの」ではなく、子どもが主体となって自分の権利として行使する、選択する権利を保証しようとする意見には頷くばかりだ。子どもたちの「いま」「ここ」を尊重し、子どもたちの時間や願いを未来のための資源とみなさないことにも共感する。こういう人が現場で働きつつも、国の政策にも関与しているということが喜ばしい。2025/05/21