目次
1 NATOとはどのような組織か
2 冷戦期の展開
3 冷戦の終焉
4 冷戦後の危機管理
5 冷戦後の拡大をめぐって
6 ウクライナ危機とNATO主要国の対応
7 集団防衛への回帰―今後のNATO
8 日本とNATO
著者等紹介
広瀬佳一[ヒロセヨシカズ]
筑波大学大学院社会科学研究科満期退学(法学博士)、在オーストリア日本大使館政務班専門調査員、山梨学院大学法学部助教授を経て、現在、防衛大学校人文社会科学群国際関係学科教授。専門分野:ヨーロッパ安全保障、ヨーロッパ国際政策史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よっち
34
ロシアのウクライナ侵攻で世界の注目を集めるNATO。その組織構造、成立の歴史、拡大する機能・加盟国、戦略概念の変遷、そして日本との関わりなどを各分野の専門家が解説する一冊。NOTOとはどのような仕組みか、共通予算と軍事費、軍事機構や作戦能力、軍事演習といった基本的なところから、いかにアメリカを巻き込むかを考えたイギリス、トルコや西ドイツの加盟、フランスやスペインの思惑といった冷戦期。冷戦後の状況の変化と加盟を目指す各国の事情、ウクライナ危機への対応と変化など、今に至る事情が分かりやすく解説されていました。2023/04/05
紙狸
22
2023年2月刊行。NATOについての入門書であり、事典として参照もできる。NATOは1949年発足とそれなりの歴史があり、かつ加盟国は拡大を重ねて今や30か国と多い。NATOについて意味のあることを語るには、切り口を定めてとりかかる必要がある。この本は38人の共著。それぞれの専門に立ってNATOを論じる。岩間陽子氏(核共有に詳しい)、鶴岡路人氏(欧州政治)、渡邊啓貴氏(フランス政治外交)といった第一線の専門家が参加している。執筆陣の充実ぶりが、現代世界におけるNATOの重要性を物語っている。2023/03/09
coolflat
18
70頁。NATOにとって、冷戦期間中ずっとつきまとった問題は、対峙しているワルシャワ条約機構軍の方が、通常戦力においてはるかに優勢だということであった。兵力でも戦車の数でも、当初はNATOがはるかに劣勢であり、この条件下で、どうやって領域防衛をするか、というのがNATOの課題であった。これに対して、米国が出した結論が、いわゆる「大量報復戦略」であった。朝鮮戦争が休戦にいたり、軍隊も国家財政も「平時」に回帰させたいという強い機運がアメリカにあり、核兵器に頼ることで兵員と予算を節約したいという動機があった。2023/12/04
崩紫サロメ
15
NATOに関する一般向けの書籍は少し前まではかなり少なかったが、ロシアのウクライナ侵攻を受けて一気に注目が高まり、NATOの成立から現状まで包括的に扱った本書が刊行された。「なぜモルドバは永世中立に固執するのか」など各国のNATOを巡る葛藤が一つ一つ取り上げられているのが興味深い。NATOの中核任務は「抑止と防衛」「危機予防・管理」「協調的安全保障」であるが、危機を発生前に予防することの重要姓(困難さ)がこの戦争で再認識されている。2023/09/04
サワークリーム
7
NATOの歴史をおさらいできるのが良い。冷戦時代のnato諸国とソ連の関係や、冷戦終焉に至るまでの思惑等について知りたかった。そのあたりはほとんど触れられていない。2023/07/24