目次
感情と人類学
第1部 バナバ人の数奇な歴史経験(燐鉱石採掘への抵抗と敗北―近代世界による包摂とバナバ人の認識論;脱植民地化過程におけるバナバ人の生成―太平洋戦争・強制移住・法廷闘争)
第2部 集合的感情と歴史記憶(怒りの集合的表出―強制移住の歴史記憶とエスニシティ;歴史歌劇と共感の効力―自己と他者の接合/分断;二つの故郷の同一化―集合的記憶の操作による先住性の領有)
第3部 ランビ島における日常生活と都市への再移住(キリスト教の集会活動と「ランビ島民化」;都市居住バナバ人の自己認識―認知論的視点からみたエスニシティ;都市の知識人による「純粋なバナバ人」の抽象的構築)
歴史記憶の持続と怒りの衰微
著者等紹介
風間計博[カザマカズヒロ]
1964年生まれ。国立民族学博物館講師(中核的研究機関研究員)、筑波大学講師・助教授・准教授を経て、2012年より京都大学大学院人間・環境学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
17
太平洋のサンゴ礁の島バナバ島からフィジーへ移住したバナバ人の民族誌。燐鉱石の採掘をめぐる英国植民地政府との対峙、土地の強制収用、太平洋戦争による日本軍の占領、バナバ人の強制退去、ランビ島に移住。その後ランビ島を含むフィジーが独立、バナバ島は独立したキリバス領となる。燐鉱石採掘後のバナバ島は土地が荒廃し、大部分は居住不能となる。本書は、文化人類学に「生きた感情」を色濃く組み入れている点が特徴。様々な形で歴史記憶の継承がなされている。◆一人の日本人として、この歴史的事実に触れられたのは貴重。2023/01/22