内容説明
コロナ・ショックは移民社会をどう変えたか。気鋭のルポライターが訊いた、日本で生きる外国人ならではの偽らざる本音と生き抜き方―。
目次
Prologue 移民最前線タウン新大久保の2020年春
1 名古屋“九番団地”の住民たち
2 学習支援と食料支援の実践者たち
3 コロナに感染した外国人たち
4 揺れる留学生たち
5 翻弄される技能実習生たち
6 なんでも対象外の難民たち
7 “職域接種”するフィリピンパブ嬢たち
Epilogue 「コロナはチャンス」したたかな商売人たち
著者等紹介
室橋裕和[ムロハシヒロカズ]
フリーライター。1974年生まれ。週刊誌記者を経てタイに移住。現地発の日本語情報誌でデスクを務め、10年にわたりタイおよび周辺国を取材する。2014年に帰国したあとはアジア専門のライター、編集者として活動。「日本に生きるアジア人」「アジアに生きる日本人」をテーマとしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Jessica
7
日本に暮らす300万人ほどの外国人、特にその中でも裕福ではない人たちがコロナ禍においてどう過ごしていたのかをインタビューと共にまとめたルポ。自分の歪んだ考えを改めさせてくれた本です。 勝手に日本ではない国の移民についての話かと思って読み始めたので、それにすら気づかずリベラルを気取っていた自分が心底恥ずかしいです。2022/11/04
とろりんとう
3
2022年2月26日、日経新聞書評本。日本で暮らす外国人の大変な状況が分かる。日本政府の安易な移民政策に翻弄された日系ブラジル人や日系ペルー人、日本で暮らす外国にルーツを持つ子供達の環境と来日時期による勉強習熟度の違い、オリンピック選手は入国できるのに留学生は入国できない日本政府の政策矛盾、従来から言われている技能実習生の過酷な現実など様々な外国人のインタビューで、実態を見れた。外国人を一括りにして支援することは不可能だが、政府の曖昧な政策のつけが外国人に現れている。2022/10/01
ぞだぐぁ
2
COVID19流行による制限が行われていた時期の在日外国人(留学できないで母国から出られない人も含む)の話。 独自ルートで輸入したもんだから高値で売ってるマスクが批判されたりとか、帰国できる臨時便が出るって詐欺の話なんかも。 自粛なんかは人権意識が強いからって納得してくれてるけどそれに反するGoToトラベルに呆れるあたりとか、実際丸投げだったり放置してたりするからそうされてしかるべきだけど政策に対して批判的な印象。 聞けばああ、なるほどと思うんだけど、日本で亡くなった(自殺者も多い)人のを供養してく(続く2023/07/06
Yasutaka Nishimoto
2
バンコクドリームの人だ、と気づかずに読了。どんな旅行記を書く方でも、国内に目を移して書かれたものは、やや緊縮したものになりがちだと思っていた。今回はコロナ。第5波のあとぐらいまでの話。自分の住んでいる、例えば埼玉県内、蕨あたりのクルド人のイメージは湧くが、遠くの県の○○団地となると、まったくイメージが湧かなかった。地図があってもよかったかも。その中でも新大久保周辺はコロナの少し前に訪れたことがあり、ちょうど韓国の方たちが減り、他のくにの方たちが増えてきていた時期だったので、絵には浮かんだ。取材に感謝。2022/03/09
お抹茶
1
移民の逞しさを感じる内容ではあるが,それは日本社会に頼れないという現実があるからだと気づかされる。例えば,感染拡大防止協力金,雇用調整助成金,特別定額給付金は外国人も対象だが,難民は対象外で,仕事が減って借金に苦しむ。一斉休校が終わると,例年通りのカリキュラムをこなすため授業のスピードが速くなり,日本語が身に付いていない外国人子供はさらに遅れてしまう。物流や小売りは感染リスクが高い仕事で,外国人も多いが,生活費や仕送りのために感染を隠す人も多い。2022/04/28