内容説明
人間を抑圧しつつ、それを隠蔽するもの。「帝国」は人種、ジェンダーなどによる見えない障壁、ヴェールを土台に自らを構成している。例えば黒人に貼りつく孤立や苦しみが、白人の側からは不可視のままになっているように。ヴェールに隠された人間の叫びに応答するための、ラディカルな幕開けの書。序文では、近現代世界史を再検証するために「人種資本主義」という概念を紹介・提案する。第1部ではアメリカ帝国の形成と人種とジェンダーの関わりを、第2部ではポストコロニアリズムの時代におけるジェンダーとセクシュアリティの問題を考察する。第3部では帝国日本に支配されていた東アジアの諸地域が戦後、新たな「帝国」へと再編されつつも、植民地主義の問題が根本的に清算されないまま現代に継続している問題を見つめる。
目次
序文 人種資本主義序説―BLM運動が投げかけた世界史的問い
1 帝国としてのアメリカにおける人種とジェンダーの交錯(帝国建設において人種とジェンダーはどのように関係しているのか―アメリカ帝国主義についての省察;一九世紀アメリカにおけるフリー・ラヴ思想―ロマンティック・ラヴの理想と結婚制度;黒人女性が経験した人種差別の交差性―ファニー・ルウ・ヘイマーのスピーチを通して;ポストコロニアルからポストヒューマンへ―人種、ジェンダー、種の交差)
2 ポストコロニアリズムの時代におけるジェンダー・セクシュアリティをめぐる運動と批評(クィア理論入門―鍵概念の定義;都市での安全―インドにおけるゲイ向け観光と世界化のポリティクス;FGM廃絶をめぐる歴史プロセスと新たなアプローチの可能性―『母たちの村』とナイース・レンゲテによる「男制」への着目)
3 東アジアにおける帝国とポストコロニアリズム(東アジアにおける「帝国」の構造とサバルタン・ステイト―韓国と台湾を中心に;朝鮮人新聞の歴史からたどる日本と朝鮮の「結びつき」―一九世紀後半から二〇世紀中葉に至るコロニアルな関係、その内実と展開;法と人権―「治安維持法」から「国家保安法」へ;「裏日本」脱却のヴィジョン―自立共生を目指す新潟の動きをもとに;基地引き取り運動とは何か?―無意識の植民地主義からの脱却を目指す草の根の応答)
著者等紹介
荒木和華子[アラキワカコ]
新潟県立大学国際地域学部准教授
福本圭介[フクモトケイスケ]
新潟県立大学国際地域学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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