目次
二足歩行の雄牛狩り
ニムロド、あるいは狩人の主権
伝染病にかかった羊と狼男
先住民狩り
黒人狩り
狩る者と狩られる者の弁証法
貧民狩り
警察による狩り
狩りをする群れとリンチ
外国人狩り
ユダヤ人狩り
不法者狩り
結論
追記
訳者解題/訳者解題 注
原注
著者等紹介
シャマユー,グレゴワール[シャマユー,グレゴワール] [Chamayou,Gr´egoire]
1976年、ルルド生まれ。バシュラール、カンギレム、フーコーというフランス認識論者の系譜に連なる科学技術の思想史家。リヨン、エコール・ノルマル・シュペリウールCERPHI(修辞・哲学・思想史研究所)に哲学研究員として所属。ラ・デクーヴェルト社の叢書「ゾーン」編集長も務める
平田周[ヒラタシュウ]
1981年生まれ。思想史。パリ第8大学博士課程修了。博士(哲学)。日本学術振興会特別研究員(PD)を経て、南山大学外国語学部フランス学科准教授
吉澤英樹[ヨシザワヒデキ]
1970年生まれ。フランス語圏文化・文学。パリ第3大学博士課程修了。博士(フランス文学・文明)。現在、南山大学外国語学部フランス学科教授
中山俊[ナカヤマシュン]
1979年生まれ。フランス近現代史。トゥールーズ第2大学博士課程修了。博士(歴史学)。南山大学外国語学部フランス学科講師を経て、北九州市立大学文学部比較文化学科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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トト
4
フランス生まれの思想史家が、「人間狩り」を歴史的、哲学的に考察した訳本。捕食者例︰権力者、富裕者、白人、キリスト教徒、国家、警察・・・。被食者例:奴隷、黒人、ユダヤ人、貧民、無国籍外国人・・・。狩る側は合法的な理屈で群れて、襲い、追放する。狩られる側は、理不尽ながら屈服するか死ぬかの二択。人間でも動物でも狩る側は罪の意識が薄いのが厄介。学術的な書物なのでくどくて小難しい面もあるが、章で纏まっているので読みやすかったです。2021/11/05
瀬希瑞 世季子
2
シャマユーがフーコーの司牧権力に対置させる狩猟権力は、動く群れを自らの領土に捕獲し、捕えた個体の労働力や財を無慈悲に容赦なく採取し尽くし、個を群れから孤立させ、無力化し、蓄積の対象とする。そこに司牧権力のような"個か全体か"といったジレンマは存在せず、群れが全滅しても別の群れを探しに行き、収奪の限りを尽くせる。2つの権力がお互いに影響を及ぼしあいながら同時に作動するその境界線を考察することは、日本に限定しても技能実習生や入管問題、渋谷区の野宿者追放といった国家暴力に対抗するための重要な視座を与えてくれる。2023/01/31
葛城吉隠
2
人間の人間に対する狩猟についての歴史が明確に抱えれており、大変わかりやすい内容でした。また、各章がそれほど長い文章ではないため、非常に読みやすかったです。2022/01/07
JF1RLN
1
本書の「人間狩り」ってのは比喩ではなく、ホントに人が人を狩るという意味。それは公権力だったり、労働力を狩るためだったり異端を追放するためだったりする。そんな人類の狩猟権力がどういう主体によって行われるか、そんな主体がどう歴史的に変化してきたのかを描いている。それを通じて著者さんは最後の方で「普遍的な政治共同体の使命」を明らかにするための重要なヒントを得たい、としている。その理想は崇高で立派だが自己矛盾を抱えているようにも見えてしまうのが少し寂しいと思えてしまうところなのではあるまいか。そんな風に。2022/01/28
keitakasugi
1
人間を優勢と劣勢の人種に分け、抗いようもない重い危害を与えてきた司牧の権力と狩猟の権力の間の相剋と共犯関係か歴史の進展と共に姿を変えて目の前に展開するような本だった。2022/01/08